「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」…ところで勝手に月に刺しても問題ないの?

「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」をご存知でしょうか?

これは人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に出てくる槍の名称なのですが、この「ロンギヌスの槍」が月面に到達するシーンがあることから、実際にお金を集めて実現させようというプロジェクトです。

このプロジェクトは発表直後から話題となり、費用は衛星の打ち上げなどを踏まえて1億円と設定され、最終的に5千万円以上を集めて終了しました。しかし、そもそも勝手に月面に槍と突き刺すようなことをして良いのでしょうか?

日本はおろか、地球でもない月において、法律はどのようになっているのでしょうか?

READY FOR?エヴァンゲリオン

宇宙は、日本の国家主権が及びませんので、宇宙での行為には日本の国内法は原則として適用されず、各種条約の適用があるのみです。

一方で、日本の国内(地上)における行為には、国内法の適用があります。以下、問題となりそうな法律、条約(国際法)をご紹介しましょう。

 

■宇宙に関する法律がある

ずばりその名も「宇宙基本法」という法律が存在します。この法律は、国が宇宙基本計画を作成し、環境に配慮しつつ、国民生活や人類の発展に資するよう、宇宙の平和的利用や民間事業者による宇宙開発の促進を定めた基本法です。ただし、直接何らかの行為を規制するものではなく、宇宙開発に関する指針を定めているのみです。

ロケット打ち上げに伴う具体的な規制としては、消防法、毒物及び劇物取締法、電気事業法、電波法、船舶安全法、航空法、昭火薬類取締法など多くの法律の規制が適用されるので、必要な届出や許認可は多数に上ります。

 

■宇宙条約

宇宙利用の自由、国家による領有禁止、平和利用原則などを定めた国際法です。

 

■救助返還協定

宇宙飛行士が事故等により遭難した場合の関連機関への通報義務、締約国の救助義務を定めたものです。

 

■宇宙損害責任条約

打上げ国が、自国の衛生等により地表で引き起こした損害や飛行中の航空機に与えた損害につき無過失責任を負うことを定めたものです。

宇宙での行為には、どこか1つの国の国内法だけを適用するわけにはいきませんので、宇宙利用に伴う損害賠償ルールを共通にして条約化したものです。

 

■宇宙物体登録条約

衛生等を打ち上げたときに、国連事務総長への登録を義務付けています。

また、登録した衛生等について、その標識又は登録番号、打上げ日及び領域又は場所、周期、傾斜角、遠地点、近地点についての情報も提供する必要があります。

 

■月協定

月や惑星などの天体を探査する際の基本原則を定めた条約です。

個人や企業も含め、月はいずれの国家の専有にもならず、月の表面や地下、天然資源は、いかなる国家・機関・団体・個人にも所有されないことが規定されています。

この他、月における脅迫・武力行使の禁止、軍事基地・施設の設置、兵器実験、軍事演習の禁止が定められています。

ただし、締約国が少なく、ほとんど死文化していると指摘されています。

国際法故に強制的な罰則もありませんので、違反しても、事実上お咎めはありません。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

*本記事は、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科青木節子著「宇宙の軍事利用を規律する国際法の現状と課題」2005 年4 月を参照・引用しています。

*画像はプロジェクトを行っているページのスクリーンショット

スポンサードリンク
   
星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

コメント

コメント