人気YouTuberが動画内で画像を無断転載・・・違法性は?

人気YouTuberが、先日世界中で話題を呼んだ「人によって色が違って見えるドレス」について、人によってなぜ色が違って見えるかを、画像を使って解説しました。

しかし、その画像は、あるTwitterユーザーが描いて自身のアカウントで公開したものを無断で使用したものでした。そこで、そのTwitterユーザーが無断転載だとクレームをつけ、人気YouTuberは謝罪をすることになりました。

このような画像の無断使用はしばしば行われているところですが、どのような問題があるのでしょうか。

YouTube

■Twitterで公開されていたものでも勝手に利用はNG

「なぜ色が違って見えるのかを解説した画像」は、明るい場所での青黒と、暗い場所での白金の色を同じ色にしたドレスの絵を用いたものですが、これには著作権が発生している可能性があります。

著作物は、著作権者の承諾を得ないと、私的使用の場合など一定の場合を除いて、原則として勝手には利用できません。

今回の使用方法は、インターネット上で利用したものなので「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」ということはできず、私的使用に当たらず、公衆送信権を侵害するということになります。

あるTwitterユーザーは、この画像をTwitterで公開していたわけですが、だからといって他人の著作物を勝手に利用することはできないのです。そのため、このクレームをつけたことは正当なものということができるでしょう。

 

■どうすればよかったのか?

では、どうすればクレームをつけられることはなかったのでしょうか。

まず、許諾を得ていれば、何ら問題ありませんでした。このクレームをつけた方も許諾を事前にとっていれば普通は許諾しているとしているようです。

次に、引用の要件を満たすということがあり得ます。

今回の使用では、画像部分だけが切り取られ、どこから持ってきた画像なのかが分からない状態でした。

そのため、少なくとも、どのTwitterアカウントから持ってきたものなのかということまで分かるように、その旨明示するか、アカウント部分の表示も含めて使うべきでした。

 

■稼いだお金の行方は?

人気YouTuberは、動画を閲覧されることで広告収入を得ています。そのTwitterユーザーも、その広告収入についてどう考えるのか?という質問をしているのですが、他人の画像を利用することで得た広告収入はどのようにされるべきなのでしょうか。

「Twitterで無料で公開していた画像である以上、損害はない」という考える方も多いのではないかと思いますが、実はそうではありません。著作権法114条1項は、侵害行為によって得た利益を損害として推定する規定を置いています。

したがって、人気YouTuberがその動画で得た利益全体を損害と推定することができる可能性があり、それを損害賠償として請求可能です。

そのため、この点についてのあるTwitterユーザーの指摘はここでも正しいということになります。

このように、インターネット上に無料で公開されているものだからといって、適切な形で使わないと、思わぬ損害を受けることになるので、注意する必要があるでしょう。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

* Chukcha / Shutterstock.com

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

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