楽天に「やらせ」の口コミが11万件! ステマって違法なの?

「楽天市場」で、店舗の口コミ評価をつり上げる架空の投稿をしたとして、楽天が大阪市北区のコンピューターシステム会社に損害賠償を求めて提訴しているそうです。

今回、報道によると、訴状では、150件当たり8万円の対価で客を装う投稿を請け負っており、少なくとも121店舗11万件以上の投稿が架空投稿だったとされています。

楽天という有名サイトであったことや、11万件という数もあり、かなりの波紋を広げていますが、以前には飲食店の口コミサイト「食ベログ」においても多くのやらせの口コミがあった事がありました。

今回、楽天は損害賠償を求めていますが、このような架空投稿にはどのような法的問題点があるのでしょうか。

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■いわゆる「ステマ」

このような客を装う投稿は、いわゆる「ステマ」と呼ばれます。
ステマとは、ステルスマーケティングの略であり、簡単に言えば、消費者に広告と悟られないように宣伝することを指します。

ステマが一概に違法というわけではないでしょうが、やり方を間違うといろいろな法律違反となる可能性があります。

 

■ステマは「景品表示法」違反?

景品表示法においては、優良誤認表示(実際のものよりも著しく優良であると示すこと)が禁止されています。

そして、平成24年5月9日、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」が一部改定により、どういうものが問題があるステマなのかの説明がされています。

これによると、以下のようなものが問題であるとされます。

グルメサイトの口コミ情報コーナーにおいて、飲食店を経営する事業者が、自らの飲食店で提供している料理について、実際には地鶏を使用していないにもかかわらず、「このお店は△□地鶏を使っているとか。さすが△□地鶏、とても美味でした。オススメです!!」と、自らの飲食店についての「口コミ」情報として、料理にあたかも地鶏を使用しているかのように表示すること。

商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。

広告主が、(ブログ事業者を通じて)ブロガーに広告主が供給する商品・サービスを宣伝するブログ記事を執筆するように依頼し、依頼を受けたブロガーをして、十分な根拠がないにもかかわらず、「△□、ついにゲットしました~。しみ、そばかすを予防して、ぷるぷるお肌になっちゃいます!気になる方はコチラ」と表示させること。

要は、実際に利用した感想等を書込むことが前提となっているにもかかわらず、その前提を無視して利用することなく優良な店・サービスだということを書き込むことが問題とされます。

そのため、このシステム会社が実際にサービスを利用せずに投稿していたとすれば、景品表示法上の問題を生じることになります。
そして、このシステム会社に依頼をしていた各店舗には、景品表示法上の問題があるということになります。

 

■不正競争防止法違反の可能性も

不正競争防止法2条1項13号は、役務の質、内容等について誤認させるような表示をするなどすることを禁止しています。

景品表示法と同じような規制がありますが、こちらも適用される可能性があります。

 

■損害賠償請求の根拠は

楽天からすれば、正当な口コミ評価がされない結果、公正なサービスを提供することができなくなっていた可能性があります。そのため、これは楽天の正当な業務を妨害しているものとして、業務妨害、営業権侵害をしているということができます。

訴状を見ているわけではないですが、おそらくこのようなことを理由にして損害賠償請求をしているのではないかと思います。

システム会社がどのような反論をするのか注目されますが、ステマは違法になる可能性がありますし、仮に違法でないものでもバッシングを受ける可能性が高いため、費用対効果が高い方法とはいえないのではないかと思います。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

*Gil C / Shutterstock.com

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

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