離婚前に知っておくべき「年金分割」の基礎知識

みなさん、年金分割という制度をご存じでしょうか?

年金がもらえるか否かということはよく騒がれますが、年金分割という言葉を耳にされることは少ないのではないでしょうか。

それもそのはず、年金分割は夫婦の離婚時の制度なので、円満な夫婦生活を送っているとなかなか聞かない言葉かもしれません。

今回は、そもそも制度自体知らないという方、あるいは年金分割という言葉は聞いたことはあるけれど、制度の内容については詳しく知らないという方のために、年金分割制度について説明したいと思います。

老夫婦男女

年金分割とは?

年金分割とは、夫婦が離婚する際の財産分与の一種で、婚姻期間中に配偶者の一方が掛けた厚生年金及び共済年金について、婚姻期間に応じて、将来、配偶者の他方にも年金を受け取ることができる権利を認めるものです。

婚姻期間中における一方の配偶者の労働に対する報酬の一部には、他方の配偶者の貢献が認められますので、その報酬が保険料として納付される以上、納付額の一部にも他方配偶者の貢献を認めようとする趣旨で、平成16年に創設された制度です(富永忠祐編『離婚事件処理マニュアル』(新日本法規)109頁)。

なお、分割の対象となるのは、厚生年金及び共済年金だけで、基礎年金である国民年金は分割の対象とはなりません。

また、企業年金や国民年金基金等も分割の対象とはなりません。

 

●年金分割の種類は?

年金分割には、合意分割と3号分割の2種類があります。

合意分割とは、離婚しようとする夫婦が、分割することとその按分割合について合意(合意がまとまらない場合は、夫婦の一方の求めによって裁判所が按分割合を定めることができます)をすれば、婚姻期間中の保険料納付実績を分割できる(按分割合の限度を最大2分の1として)という制度です。

請求期限は、原則として、離婚をした日の翌日から2年以内なので、注意が必要です。

当事者の話合いで取決めをする場合には、按分割合等を定めた公正証書等を作成する必要があります。

当事者の話し合いにより取決めができなかった場合には、調停、審判あるいは離婚訴訟等で、裁判所が按分割合等を定め、その旨の調書や判決書が作成されることになります。

3号分割とは、平成20年5月1日以降、配偶者の一方が第3号被保険者であった期間について、他方配偶者(第2号被保険者)の保険料納付実績の2分の1を自動的に分割できる制度です。

※第3号被保険者とは、国民年金加入者のうち、厚生年金、共済年金に加入している一方配偶者に扶養されている20歳以上60歳未満の他方配偶者のこと

合意分割とは異なり、夫婦間で分割することやその按分割合について合意する必要はなく、請求すれば当然に2分の1の割合で分割されます。

具体的には、必要事項を記載した所定の請求書を日本年金機構宛てに提出することになります。

請求期限は、合意分割と同様、離婚をした日の翌日から2年以内です。

 

*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)

理崎 智英 りざきともひで 弁護士

高島総合法律事務所

東京都港区虎ノ門一丁目11番7号 第二文成ビル9階

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