弁護士が鈴木奈々の秘密を暴露… 守秘義務違反にはならないの?

先日、とあるテレビ番組で、タレントの鈴木奈々さんの夫婦生活の相談について、大渕愛子弁護士が暴露したことが話題になりました。

このやりとり自体は、収録したVTRを放送していることから事前の打ち合わせに基づくものと思われます。しかし、実際、弁護士に対する法律相談の内容は、プライバシーに大きく関わり、他人に知られたくないと考えるものであることが非常に多いのが事実です。

弁護士が、相談者の秘密を暴露した場合、法的にどのような問題があるのでしょうか。今回はこの点について考えてみたいと思います。

弁護士

■依頼者の秘密の暴露は禁じられている。

弁護士は、人権擁護、社会正義の実現を使命とすることから、国家機関の監督を受けない高度な自治を保障されています。

そのため、弁護士は、自らによってその行動を律することが求められます。そこで、「弁護士職務基本規程」というものが作成され、弁護士の職務に関する倫理、ルールが定められています。

この弁護士職務基本規程の第23条に、「弁護士は、正当の理由なく、依頼者について職務上知りえた秘密を他に漏らし、又は利用してはならない」と定められています。秘密の暴露は、原則として、この規程に違反することになります。

そして、秘密を暴露した弁護士は、弁護士会に懲戒請求を起こされる可能性があります。

この懲戒請求を弁護士会が正当なものと認めた場合には、この弁護士に、懲戒処分が下されることとなります。

処分には、戒告という軽いものから、資格が剥奪される除名処分という非常に重いものもあります。どのような処分が下されるかは、違反行為や非行行為の重さやそれまでに受けた懲戒処分の回数など、様々な事情が考慮されることとなります。秘密を1つばらしただけだからといって、軽い処分で済むとは限りません。

また、秘密を暴露された依頼者・相談者から、慰謝料が請求される可能性もあります。

さらに、これとは別に暴露した秘密の内容や方法、利用した媒体によっては、名誉棄損罪が成立する可能性もあり得ます。

 

■鈴木奈々さんと大渕弁護士のケースについて

先ほども書きましたが、鈴木さんの件については、事前の打ち合わせに基づく番組の演出であることは間違いないでしょう。

ですから、鈴木さんの夫婦生活について大渕さんが暴露したこと自体について、問題が発生するとは考えられません。しかし、仮に大渕弁護士の暴露が、本当に事前に何の打ち合わせもなく行われたものだとすると、先の職務基本規程に違反することは明らかです。懲戒請求や慰謝料請求の対象になる可能性があります。

なお、個人的には、大渕弁護士が鈴木さんの夫婦生活について暴露したことよりも「法律相談でちゃんと来て、料金も払ってもらえれば守秘義務はちゃんと守ります」と発言したことについて問題を感じています。

「職務上知りえた秘密」は、法律相談で知りえた秘密に限られません。また、無料の法律相談にも、当然、秘密を守る義務が課されます。

番組進行上の都合で、このような発言をすることとなったのでしょうが、一般の視聴者に対して弁護士のルールを誤解させてしまったのではないかと懸念されるところです。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

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寺林 智栄 てらばやしともえ

ともえ法律事務所

東京都中央区日本橋箱崎町32-3 秀和日本橋箱崎レジデンス709

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