生きる上で不利? 「キラキラネーム」を改名する方法

光宇宙(ぴかちゅう)、黄熊(ぷう)、七虹(しえる)……いわゆるキラキラネームに関する話題は、近年世間を賑わせています。

芸能人が子どもにつけたキラキラネームは、よくワイドショーでも取り上げられています。

「他人と同じ名前は嫌だ」「現代的な名前がいい」との親の気持ちも理解できないものではありませんが、そのようなキラキラネームをもつ本人たちにとっては、自分の奇異な名前が結婚や就活の支障となる等、深刻な問題に発展することもあるようです。

では、そのようなキラキラネームは、どのようにして改名できるのでしょうか。

親子

●改名ができる条件

戸籍法107条の2は、「正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。」と定めています。

ここでいう「正当な事由」とは、名の変更をしないとその人の社会生活において支障をきたす場合をいい、単なる個人的趣味、感情、新工場の希望等のみでは足りません。

具体的には、(1)営業上の目的から襲名する必要があること、(2)神官又は僧侶となるために改名する必要があること、(3)珍奇な名や難読の文字を用いた名で社会生活上支障のあること、(4)帰化した者で日本風の名に改める必要があること、(5)長年通称名を使用し社会的に通用していること、(6)異性と紛らわしい名で社会生活上支障があること、(7)性同一性障害で名と性別に隔たりがあること等が挙げられます。

 

■キラキラネームを改名する方法

では、具体的には、名の改名はどのようにして行うのでしょうか。

改名の手続の申立人は、名の変更をしようとする者です(15歳未満のときは、その法定代理人が代理します)。申立に伴う費用は、収入印紙800円分のほか、連絡用の郵便切手が必要になります。

申立人は、申立書(裁判所のホームページで入手できます)、申立人の全部事項証明書、名の変更の理由を証する資料(通称名で生活してきたことを証明する郵便物や名簿等)を家庭裁判所に提出します。

その後、家庭裁判所の審理が開始します。面談等でなぜ改名するのか、現在の名はどのように社会生活上支障があるのか等説明が求められることもあります。追加の資料提出を求められる場合もあるようです。

そのような手続を経て、改名する「正当な事由がある」として家庭裁判所に改名を許可された場合は、審判書謄本や戸籍謄本などを添えて市区長村役場に届出をし、戸籍が変更されることになります。

 

■おわりに

戸籍は、身分関係を明らかにするだけでなく、人口統計や、治安維持の役割も果たしていますから、一定の安定性が求められるものといえるでしょう。

そのためには、自分の名といえども、好き勝手に改名を認めるわけにはいきません。そこで、戸籍法は、公共の福祉を害せず、善良の風俗に反しない限りにおいて、改名を認めるとしているのです。

今後、キラキラネームを理由に改名を申し立てる人が増加していくことが予想されますが、奇異な名前によって真に社会生活上支障が出ているかどうかについて、家庭裁判所の判断が蓄積されていくことに注目が集まるでしょう。

 

*著者:弁護士 鈴木翔太(弁護士法人 鈴木総合法律事務所)

鈴木 翔太 すずきしょうた

弁護士法人 鈴木総合法律事務所

東京都渋谷区恵比寿1-8-6 共同ビル4階・7階

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