マスクをしないでウイルスを撒き散らす行為は犯罪か

電車などでは、せきやくしゃみをしているにもかかわらずマスクをしていない人を見かけることもあるかとは思います。

更に、手で口を押さえない人などもいるため、このような人には「頼むからうつさないでほしい」と願うばかりですが、もし仮に風邪をうつされたら、うつした人は何か責任を負うのでしょうか。

風邪マスク女の子

●なんらかの犯罪になる?

風邪をうつされた場合に関係がありそうな犯罪としては、刑法の傷害罪が考えられます。

傷害とは、人の生理的機能を害すること、広く健康状態を不良に変更することを言います。そのため、風邪をうつされた場合には、生理的機能を害されて病気となったといえ、傷害といえるでしょう。

しかしながら、傷害罪が成立するためには、単に生理的機能を害されたといえるだけではなく、その手段が問題になります。一般的な傷害罪においては、暴行、つまり、殴ったり、蹴ったりなどの有形力の行使が、その手段として想定されています。

 

●せきやくしゃみは傷害になる?

ところが、中には無形的な方法で人の生理的機能を害することもあり得ます。

例えば、隣の人に嫌がらせをするために、無言電話をかけ続けた結果、隣の人がPTSDになった場合には、直接の暴力はないですが、人の生理的機能を害したといえます。このような場合でも傷害罪は成立すると考えられています。

このような考え方からすると、わざとせきやくしゃみをして風邪をうつしてしまったら傷害罪が成立する可能性もゼロではありません。

 

●現実的には難しい

とはいうものの、現実的に、このような状況で逮捕されて処罰されることはないとは思います。冬場であれば風邪やインフルエンザが流行していますので、誰のウイルスによってうつされたのかがわからないからです。

ですので、理論的には傷害罪の話も出てきますが、現実的には問題とならないと考えてよろしいかと思います。もちろん、損害賠償などの金銭的請求も不可能でしょう。

もっとも、法律上違法性はないといっても、マスクをしないでせきやくしゃみをまき散らす行為は周囲に迷惑がかかる行為であることは間違いありません。法律云々ではなく、一般人の常識として、せきやくしゃみには気を配っておきたいものです。

 

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

山口 政貴 やまぐちのりたか

神楽坂中央法律事務所

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