12月も中旬を過ぎ、年賀状の作成に追われる方も少なくない季節になりました。
みなさんの中には、家族の近況を知らせるため、家族写真やお子さんの写真を年賀状に使用している、あるいは使用したいと考えている方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、最近は、子の連れ去りや児童ポルノなど、子どもが被害者となる犯罪の報道が後を絶ちません。年賀状に子どもの写真や情報を載せることによって犯罪に巻き込まれる恐れもあります。それでは、具体的にはどのような危険があるでしょうか。考えてみたいと思います。
■児童ポルノ画像に使用される危険
筆者が個人的に最も懸念しているのは、お子さんの写真が、児童ポルノに利用されてしまう危険性です。例えば、女の子の水着姿や体操着姿、ミニスカート姿など露出の高い服装をしている写真は、そのまま用いられる可能性があるでしょう。
露出が低い服装の場合であっても、他の子どもの首から下の写真と自分の子供の顔の写真を組み合わせる、いわゆるコラージュ写真として使用される危険性も否定できません。お子さんの顔が可愛らしかったり、あるいは、児童ポルノ好きの層に受けがよい顔立ちの場合には、このような危険は高くなるものと思われます。
■連れ去り・誘拐の危険
年賀状にお子さんの写真を載せることは、その人の家に、そのお子さんがいるという情報を掲載していることとなります。そうすると、身代金目的、あるいは児童ポルノなどによる利益を得る目的での誘拐につながる危険性があります。近年増えている「連れ去り・監禁」の被害につながることも考えられるでしょう。
■画像の流出ルート・対策について
先に指摘したような危険は、主に2つのルートで生じうると思われます。
ひとつは、送付した年賀状が、そのまま他者の手に渡るというケースです。儀礼上あまり親しくない人にも大量に年賀状を出すような場合には、ごく親しい人にしか出さない場合よりも、相対的にこの危険は高くなるのではないかと思われます。
もうひとつは、自身が書き存じで廃棄した年賀状や、年賀状を受け取った人がその後に廃棄した年賀状が、拾得されるといったケースです。
年賀状を送った人に対して、受け取った年賀状はこうしてほしい、などということは言えません。子供の写真を載せないこと以外に、根本的な解決策はないでしょう。相対的に危険を低くするためには、ごく親しい人以外には子供の写真が入った年賀状は送らない、自身の書き損じの年賀状はシュレッダーにかけるなどして廃棄するといった措置を採ることが必要と考えます(しかし、子供の写真を切り刻むことは、多くの人にとって抵抗感が強いと思います)。
子を持つ親なら誰でも、かわいい子供を他人に見てほしいという気持ちを持つことでしょう。しかし、一方で、子どもは守られねばならない存在でもあります。子供が犯罪の餌食になりやすい昨今、弁護士としては、家族で「子供の写真、年賀状に載せるか?」ということを、真剣に話し合ってほしいと思います。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)