離婚をしようとする夫婦に未成年の子がいる場合、どちらか一方を親権者と決めなければ離婚することができません。
夫婦の間の話合いで親権者が決まればいいですが、どちらが親権者になるのか夫婦間でもめた場合には、最終的には裁判所の「審判」によって親権者が決まることになります。
審判になった場合、裁判所は、どちらの親が親権者となるのが「子の利益」にかなうのか、という観点から親権者を決めることになります。
そして、下記のような父母の事情と子の事情を総合的に考慮したうえで、夫婦のどちらが親権者となるのが「子の利益」にかなうのかが判断されることになります。
●父母の事情
監護の意欲:子に対して深い愛情を持っているかどうか
監護の能力:子を監護するにあたっての経済的や時間的な余裕があるかどうか、心身が健康か、実家の援助を受けられるか
生活環境:子が生活するために十分な広さの住居か、近くに学校があるか
●子の事情
子の意思:子は、どちらの親と一緒に生活したいと思っているか
子の年齢
●それ以外の事情
継続性の原則:これまで実際に監護をしてきたほうの親が優先される
兄弟姉妹不分離の原則:兄弟姉妹を一緒の親に監護させる
母性優先の原則:乳幼児については母親に監護させる
以上のような事情を総合的に判断して、どちらの親が親権者となるのが「子の利益」にかなうのかという観点から、裁判所は親権者を定めることになります。
いずれにせよ、子にとっては、どちらの親が親権者になっても、もう片方の親とは離れ離れになってしまうので、悲しい出来事であることには変わりはないと思います(もっとも、例外はあるとは思いますが……)。
一番「子の利益」にかなうのは、両親と一緒に生活することですので、そのためにも夫婦仲良くしたいものですね!
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)