恋人同士の愛の証として、お互いの名前のタトゥーを入れるという話を聞いたことがあります。
しかし、タトゥーを入れてまでしてお互いの愛を確かめ合った恋人同士でも、その後、別れてしまうことも当然あるでしょう。
入れてしまった過去の恋人の名前を消すために、レーザーなどでタトゥーを除去したり、文字が綺麗に隠れるように別の柄のタトゥーを重ねていれたりすることもあるようです。
それでは、恋人と別れたなどの理由でタトゥーを消す際に、タトゥーの除去費用を請求することはできるのでしょうか?例えば、元彼が「自分の名前のタトゥーを彫って欲しい」とお願いしてきたためタトゥーを彫ったその後、別れる様なことがあった場合はどうなるのでしょうか。
●除去費用を請求することはできない
たとえ恋人に頼まれたからといっても、最終的には、自分の意思に基づいてタトゥーを入れているわけですから、それを除去するのもまた自己責任であり、タトゥーの除去について恋人には責任はないからです。
そのため、法律上、恋人に対して、タトゥーの除去費用を請求する権利はないということになります。
もっとも、恋人に騙されてタトゥーを入れた、体を押さえつけられて無理やりタトゥーを入れられた、という場合には、自分の自由な意思に基づいてタトゥーを入れたわけではありませんので、除去費用や慰謝料の請求をすることができる場合もあるでしょう。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)