Facebookの「授乳写真」で波紋…どこからが「性的コンテンツ」なのか?

イギリス在住の女性がFacebookに授乳中の写真を投稿したところ、閲覧者がクレーム報告し、写真が一時削除されたという事件があったようです。

この件では、その後写真はFacebookによって再公開されたようですが、少なくとも一度削除されたということは、授乳という育児にとって非常に重要なものが、いわば性的コンテンツとして認識されたということにもなります。

では、日本で同じような授乳写真がアップされたとしたらアウトなのか、どこからがアウトなのかということを、法的観点から検討してみたいと思います。

授乳

■「わいせつ」といえるには

「わいせつ」なものをインターネット上に公開することは、わいせつ物公然陳列罪などに当り得ます。

「わいせつ」というのは、いたずらに性欲を興奮・刺激させ、普通の人の正常な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反することであるとされていますが、これは社会の認識によっても随分変わってきており、現在では、端的にいえば性器が写っているかどうかが「わいせつ」に当たるかどうかの分水嶺になっています。

そのため、たとえば乳首が写っていたとしても、「わいせつ」には当たらないと判断されることになると思われます。

ただ、そうだとしても、Facebookから削除されることはない、ということには必ずしもなりません。

 

■Facebookの利用規約を確認

Facebookの利用規約を確認すると、「わいせつ」に関係しそうなものは以下です。

次のようなコンテンツを投稿することはできません。差別的、脅迫的、またはわいせつ的なコンテンツや、暴力を誘発するようなコンテンツ、ヌード、露骨な、あるいは根拠のない暴力の描写が含まれるコンテンツ。

利用者が本規約の内容または精神に違反した場合…、弊社はFacebookのすべてまたは一部の提供を停止できるものとします。

今回の写真の削除もこれにしたがってされたものと思われます。

これを見ると、ヌードなどが特に限定せずに含まれていることから、「わいせつ」よりも広く禁止としていると読むことができます。

Facebookを利用できるということは、Facebookの規約に同意しているということなので、基本的には規約に従う必要があります。そのため、「わいせつ」に当たらないとしても、利用規約に基づいて、写真を削除されることはあり得るということになります。

 

■「授乳」写真は規約違反に当たるのか

個人的には、乳児が生きるために必要不可欠なものであり、それ自体に性的な点があるとも思えないことから、「当たらない」と思います。

しかし、いろいろな考えの方がいるのであり、これを不快に思う人もいるわけです(現にこのケースではそうだったのでしょう。)。しかし、全ての人が心地よい使い方をするということは現実的には不可能です。

Facebookに限らず、他人の権利を積極的に侵害するようなものでなければ、(一定のマナーをわきまえている限り)自由な行動をすることは許容されるべきです。特に、見たくない人は見ないという選択もできるのです。

そのため、授乳写真のようなものは規制を受けるべき対象ではないでしょう。

そして、Facebookでは「弊社が削除したコンテンツについて、利用者がその削除は間違いであると考える場合、弊社は反論申し立ての機会を提供します。」として、削除された倍でも反論の機会を与えるとしているので、不服がある場合には反論をしていけばよいのではないかと思います。

Facebookに限らず、他のインターネット上のサービスも同じような構造になっていることが多いので、その他のサービスでも同じように考えればよいと思います。

 

*著者:弁護士清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

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清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

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