付箋を貼ってポストへ――前の住人宛てに郵便が配達されたときに取るべき行動とは

引っ越したら、前の住人宛ての郵便物が郵便受けに配達されるといったことがまれに起こることがあります。

それがダイレクトメールの類であれば破棄してしまったりする人もいるでしょう。しかし、重要そうな書類となると破棄するわけにもいかず、かといってわざわざ警察に届けるのも面倒 ……などと色々考えてしまい、どうしたらよいかわからないという方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、このような郵便物の処理方法等について解説したいと思います。

ポスト

●前の住人宛てに郵便物が届いたらどうすればいい?

引っ越しをした直後などで、前の住人宛てに郵便物が届いた場合には、郵便局側に「この住所にはこの人(前の住人)は住んでいません。(現居住者は〇〇です)」といった付箋を宛名付近にセロテープで貼って、ポストに差し戻す必要があります。

ここでいう付箋とは小紙片のことですので、メモ用紙でも構いません。

このように、付箋を付けてポストに投函いただくと、郵便局にあるリストから名前が削除されるため、二度とその人宛ての郵便物が配達されることはなくなります。

 

●誤配達の場合は…?

一方誤配達の場合はどうなるのでしょうか。誤配達とは、間違った住所に配達することを指します。

郵便法によると、誤配達があった場合は、その郵便物に誤配達である旨の付箋等を貼って郵便ポストに投函するか、あるいは郵便局に連絡するかをしなければならないそうです。

万一誤って誤配達の郵便物を開けてしまった場合には、開けてしまった郵便物に再度封をし、誤って開封してしまったこと、自分の氏名、住所を記載した付箋等を貼って郵便ポストに投函するか、あるいは郵便局に連絡するかをしなければならないそうです。

ですので、もし誤配達の郵便物が届いた場合には、破棄したりせずにポストに投函しなければならないことになります。ただし、郵便法のこの規定には 罰則がありませんので、仮に誤配達の郵便物をポストに投函しなかったとしても郵便法で罰せられることはありません。

 

●最悪の場合は5年以下の懲役も

しかしながら、郵便法では罰せられないとしても、前の住人宛ての郵便物やご配達の郵便物を破棄したり、自分の物としてしまったりすると、刑法で処罰の対象となります。

まず、郵便物を自分の物としてしまった場合は、占有離脱物横領罪となり、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります。

郵便物を自分の物としなくても破棄してしまった場合は、器物損壊罪となり、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。破棄した郵便物が たとえば契約書のような権利義務に関する文書であった場合は、私用文書毀棄罪にあたり、5年以下の懲役とさらに罪が重くなります。

 

●面倒でも付箋を貼ってポストへ

やはり前の住人宛てに郵便物が届いた場合や、誤配達の郵便物が届いた場合には、面倒だとは思いますが、付箋を貼ってポストに入れなおすという対応を取るのが一番良いのではないかと思われます。

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今回は前の住人の郵便物に関する取扱い方法について解説してきました。

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*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

山口 政貴 やまぐちのりたか

神楽坂中央法律事務所

東京都新宿区津久戸町4-1 ASKビル2-B号室

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