コンバースがパクリ企業を提訴!「意匠権」って何?

米国の靴メーカー、コンバースが、主力商品の「チャックテイラー・オールスター」の類似商品を製造販売したとして、国内外の31社を、ニューヨークの連邦地裁及び米国際貿易委員会(ITC)に提訴しました。

提訴された会社の中には、ウォルマート・ストアーズやラルフローレンなどの有名企業の他、日本企業もあります。

コンバースは、これらの企業を「意匠権」侵害を理由として提訴しました。しかし、「意匠権」という言葉には馴染みがない人も少なくないのではないでしょうか。

そこで、今回は、意匠権とはどのような権利なのか、意匠権が侵害されたと判断する基準はどのようなものなのか、などについてお話したいと思います。

コンバース

■意匠権とはどんな権利か?

まず、意匠権の「意匠」とは、日本では、「物品(物品の部分を含む)の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されています(意匠法第2条第1項)。

定義を見ると一体何が保護されているのかわかりませんが、簡単に言えば、意匠とは「物のデザイン」のことであり、意匠権とは、物のデザインをコピーされたりしないように守る権利であると考えてもらえればよいでしょう。

日本では、物のデザインに意匠権を設定するためには、特許庁に登録の出願をし、設定登録されることが必要です。米国の場合も、同様に出願の上、登録されることによって初めて設定されるシステムになっています。

 

■意匠権が侵害されたと判断する基準は?

ある物のデザインが意匠権を設定している別なものに類似しており、意匠権を侵害していると判断されるのは、どのような場合でしょうか。

日本の多くの裁判例では、それを手に入れようと思う人から見て、その物の特徴がどの部分にあるか(「要部」といいます。)をまず認定しています。そして、問題となっている商品同士の要部を観察して、その部分が共通しているかどうか、見る者にとって美的印象が異なるかどうかといった手法をとって、判断しているようです。

このような判断手法は各国共通というわけではないようです。米国における判断基準は、必ずじも明らかではありません。

しかし、「クロックス」の意匠権侵害が問題になった事例では、ITCがクロックスの構成要素を非常に細かく検討して意匠権を侵害しないと判断したのに対し、控訴された連邦裁判所は、登録意匠の図面と訴えられた商品を左右において全体を直接対比するという判断手法を用いて、意匠権侵害を認めた、とされています。判断機関の違いにより、類似性の判断が異なる可能性も十分にあります。

物の「部分」に着目する判断基準に対しては、どうしても細かい点に注意が向きがちになるため、差異が強調されて意匠権侵害の判断がされにくいという批判もあるようです。

 

■コンバースのケースについて。

報道によれば、コンバースが提訴したのは、コンバースがデザインして意匠登録した、(1)靴の先端をゴムで覆う部分、(2)靴の周りのストライプとのことです。2008年以降、類似のデザインが多く出回るようになり、今回提訴に踏み切ったようです。

果たして、今回のケースでは、「要部」や細かいデザインを逐一対比する手法がとられるのか、全体を直接対比する手法がとられるのか、その判断手法も気になりますが、消費者としては、コンバースが全面勝訴して、「安い類似品」を手に入れられなくなることも、気になるのではないでしょうか。

 

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

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