女性社員に「胸を張れ」でセクハラに?どこからがセクハラなのか

「自信を持て」という意味で「胸を張れ」という言葉はよく使われます。

しかし、先日ネット上で女性社員に「胸を張れ」と言ったらセクハラと受け取られてしまった、という記事が話題になっていました。

どこからがセクハラでどこまでがセクハラではないのかは難しい問題です。何気なく言った言葉がセクハラと受け取られることもあります。今回の「胸を脹れ」も一般的に使われている言葉であり、何気なく使用したと考えられます。しかし、相手はセクハラだと感じたという難しさがあります。

今回はセクハラの種類やどうなったらセクハラとなるのかなど、基本的なことを改めて解説します。

女性写真

●セクハラの種類

そもそもセクハラは、職場の地位を利用し、性的関係の要求に従わない場合に解雇、降格、減給等の不利益を及ぼすという対価型セクハラと、職場の環境を不快にさせ、就業する上で支障が生じることとなる環境型セクハラという2つに分類されます。そして、環境型セクハラはさらに、性的なポスターなどを掲示する視覚型、性的な発言を繰り返す発言型、体に触れる身体接触型の3つに分類されます。

 

●セクハラになる基準

今回のケースは環境型セクハラの中の発言型が問題となりそうですが、果たして「胸を張れ」というのはセクハラに該当するのでしょうか。

セクハラに該当するかどうかは原則的には「通常一般人の感じ方」が基準となるのですが、ただ、通常一般人と言っても非常にあいまいであり、かつ個人差が大きくありますので、実際には被害に遭った人がどう感じているかという基準で判断することになると思われます。ですので、基本的には言葉をかけられた人が不快に思えば「セクハラ」と考えてよいでしょう。

また、発言内容だけでなくその他の要因と相俟ってセクハラとなる場合もあります。たとえば、「今日の洋服はとてもお似合いですね。」と洋服をほめる言葉をかけた場合、1回かけたのみではなかなかセクハラとは認定されにくいですが、この発言が毎日繰り返されたような場合はセクハラと認定される可能性が高くなります。

 

●「胸を張れ」はどうか

さて、本題の「胸を張れ」という発言ですが、「胸を張る」という言葉は「堂々とした態度を取る」という意味の慣用句として定着しており、その言葉だけで女性のバストを連想させる言葉ではありません。ですので、胸を張れと1回発言したのみではセクハラとなる可能性は低いと思われます。

しかしながら、ことあるごとに「胸を張れ」という言葉を使い続け、それもあえて女子社員にだけ使い続けるような事情があり、さらに女子社員がその言葉を使わないように伝えたにも関わらずことさらに使い続けるといったような要因がある場合には、セクハラと認められる可能性が出てくるでしょう。

今回のケースは詳細がわからないので断定はできませんが、このような様々な事情が絡み合って、セクハラと認定されたのではないでしょうか。

いずれにせよ、女性に対する発言は(もちろん男性に対する発言もそうなのですが)慎重にすべきであり、セクハラ防止のためにはしっかりと努力しなければならないということを肝に銘じておかなければならないでしょう。

 

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

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山口 政貴 やまぐちのりたか

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