有料相談サイトで「まともに答えない医者」は許されるか

医者に相談が出来る有料会員制サイトで、会員からの質問に対して医者が真摯に答えていない事例があることが分かり、話題になっています。

医者が会員からの相談に乗らず、「受診してください」「主治医の結論以上の情報がWEBから得られるわけがありません。」などと質問者を突き放すような回答を繰り返しています。

専門的なアドバイスや考察を求めてお金を払っているのに、この様な態度を取られたら「なんの為にお金を払っているんだ!」「契約不履行じゃないか」などと思っても仕方ないでしょう。

このような医者の行為が法的に問題あると考える方は多いのではないのでしょうか。しかし、今回の場合、一概に医者に責任を問えない契約上の理由があります。

医者

■相談者と医師の契約法律関係

通常、病院で医師に診断してもらう場合には、診療契約という法律関係が成立し、医師は、一般的な医学的水準に則って診察する義務があり、患者は診療報酬を支払う義務を負います。ちなみに、誤解している方が大変多いのですが、治療の結果病気を治すことまでは医師の義務ではないので、注意して下さい。

これに対し、有料サイト上での質問は、相談者がサイト運営者と契約関係にあり、サイトに利用料を払う代わりに、登録した医師から回答を得るという関係にあります。

つまり、医師と相談者は、契約関係にはありません(サイト管理者、医師、相談者の3社契約となっている場合は除く)。

実は、弁護士業界にも同じような仕組みのサイトがあり、相談者はサイト管理者に利用料を払えば無料で弁護士に相談できることになっていますが、回答する弁護士には、相談者が払った利用料金は「一切」回ってこない仕組みです。

相談者からすると、そのような仕組みを知らないので、期待する回答のレベルが高くなりがちですが、回答する医師は、本業の合間にボランティアで回答している可能性もあります。

そうすると、利用者は、サイト管理者に対しては、利用規約の内容次第では約束したサービスを受けられなかったということで契約責任を問える可能性もありますが、契約関係になく、報酬も受け取っていない医師には、責任を問うのは難しいでしょう。

 

■専門的事項をネット上で簡易回答することの難しさ

利用料金を払っているのに、満足がいく回答を得られずに不満を感じることもありえると思いますが、他方で、医師(や弁護士)は、本来、高度に専門的で複雑な事項を扱っていることもサイトを利用する前に十分認識しておきましょう。

事案や疾病内容、症状は、専門家が実際に直接見て、問診し、検査して初めて正確な判断と処置が可能となります。

そもそも、診療や医学(弁護士であれば訴訟)に関する事項は、相談者が記載した文字以外に情報がないネット上の相談で、満足な回答をすることは不可能に近いです。

したがって、手軽に利用できる相談サイトは、その手軽さというメリットがある反面、性質上、利用料金をサイト管理者に払っても、契約関係の点でも、判断材料が限られる点でも、病院で受診する場合とは期待できる回答が全く異なることに留意した上で、利用することをお薦めします。

 

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

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星野宏明
星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1‐21‐8 弁護士ビル303

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