借金の取り立てというと、ドラマや映画でありがちな「居留守を使ってるのは分かってんだぞ!」「家族がどうなっても知らねぇぞ!」などを想像する方も多いのではないでしょうか。
この様な激しい暴言などはもちろんですが、それ以外にも禁止されている行為は多岐にわたります。
例えば、貸金業者が、しつこく返済の電話をかけてきたり、自宅や職場にまで押しかけてきたり、という経験をされた方や、現在そのような行為を受けている方がいらっしゃるかもしれませんが、そのような行為は、貸金業法に違反する違法な行為です。
そこで、今回は、貸金業者による取立てが違法になるのはどのような場合かを説明したいと思います。
貸金業者による債権の取立てについては、貸金業法21条1項で、禁止される行為が列挙されています。
以下、代表的な禁止行為を5つ紹介します。
●正当な理由がないのに、午後9時から午前8時までの間に、債務者に電話をかけたり、債務者宅に訪問する行為
帰宅後に家でくつろいだり、就寝したりしている時間帯に、債務者に債務の返済等の電話をかけたり、債務者宅に訪問することは、債務者の私生活上の平穏を害することになるので、そのような行為は禁止されています。
●正当な理由がないのに、債務者の勤務先等に電話をかけたり、勤務先等を訪問する行為
勤務先等に連絡をしたり、直接訪問することで、債務者に圧力をかけ、事実上、債務者に返済を強要することになりますので、そのような行為は禁止されています。
●張り紙等をすることにより、債務者が借金をしている事実等を第三者に明らかにする行為
上記同様、第三者に借金の事実等を公表されることにより、債務者に圧力をかけて、事実上返済を強要することになりますので、そのような行為は禁止されています。
●債務者や保証人以外の者に対して、借金を返済するよう要求する行為
借金の返済義務を負っていない者(債務者の親族や友人等)に連絡をして、債務者の借金を返済するよう要求する行為は、禁止されています。
●債務者に弁護士がついて、以後は債務者本人に直接連絡等をしないよう求められたのにもかかわらず、以後も債務者本人に対して連絡をする行為
債務者が、債務の整理を弁護士に依頼し、弁護士が貸金業者に対して、今後は債務者に直接連絡等しないよう通知をした場合、以後、貸金業者は、債務者に対して直接連絡をして債務の返済を求めたり、分割の交渉をすることは禁止されています。
●罰則について
上記のような取立て行為を行った貸金業者には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはこれら併科されることになります(貸金業法47条の3第1項3号)。
●対策は?
上記のような取立て行為をする貸金業者は、無登録の闇金である場合がほとんどですので、もし、貸金業者による上記のような取立て行為でお困りの方は、ご自分で対処しようとはせずに、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)