最近は「メルカリ」や「フリル」といったオークション専門のフリマアプリが登場し、非常に人気が高まっているそうです。
このアプリでは、早ければ出品後数分で買い手が見つかるという手軽さ、スピードが、あるいは代金を支払ったのに商品が届かない、あるいは商品が粗悪品だった、などというトラブルが少ないという点が人気で、利用者が急増しているとのことです。
そんなフリマアプリですが、最近あるトラブルが問題となっています。
それは、ユーザーに規約違反等があった場合に、運営会社によって強制的にユーザー登録が抹消されるという点です。
そして、抹消されるだけならともかく、抹消の際、本来であればユーザーに支払われるべきであった売上金が没収され、支払われなくなってしまうということがあるそうです。
ユーザーとしては事前通告もなく登録抹消され、売上金も入ってこないということでは踏んだり蹴ったりであり、運営会社に文句を言いたくなるのも無理はありませんが、法律上そのようなことは許されるのでしょうか。
●利用規約に意味はあるか
そもそも、メルカリの利用規約を見ると、「規約違反があったと判断した場合、事前の通知なしに、ユーザー登録の取消等の措置をとることができるものとします。」という規定があり、さらに、そのあとに、「本条の措置の時点で当ユーザーに支払われることとなっていた金銭等について、弊社の判断により、無効とすることができるものとします」という規定があります。ですので、利用規約を見る限りでは、強制登録抹消、売上金没という措置も違法ではないと思われます。
しかしながら、実際問題、利用規約を熟読してその意味を完全に理解し、これを承諾した上で加入する人など皆無と言っていいでしょう。形式的には強制登録抹消、売上金没収につき説明はあるものの、実質的にはユーザーは説明を受けないま加入しているわけです。
ですので、この規定が100%有効であるとは言えず、場合によっては消費者契約法などの規定により、規約自体が無効と判断され、売上金の請求をできるケースも出てくるものと思われます。
もっとも、現実的には、運営会社も些細な規約違反で事前通告なしの強制登録抹消、売上金没収という強硬な手段を取ることはないでしょう。あくまでも犯罪行為である場合や、ユーザーが反社会的集団であるなどの極めて例外的かつ違法性が高い場合にのみこの規定を適用するものと思われます。ですので、些細な規約違反があったとしてもそれだけで登録抹消、売上金没収されてしまうのではないかとビクビクする必要性はなさそうです。
とはいうものの、規約違反はやはりあってはならないことですので、規約をしっかりと守り、トラブルのないようにしてアプリを利用されることが一番なのではないでしょうか。
*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)
※画像は「メルカリ」のサイトのスクリーンショット