当初懸念された準備不足などの問題をよそに、ブラジルW杯が盛り上がりをみせています。
しかし、外務省はブラジルの複数の地域の治安について「十分注意」と指定しました。
そんな中、ブラジルに渡航した際、巻き込まれる可能性のあるいくつかのトラブルの対応策についてまとめてみました。
■パスポートをなくした
外国でパスポートを紛失したり、盗難にあった場合、現地の日本国大使館で手続きをしましょう。
手続きとしては、紛失の届けをし、同時に、新しいパスポートの申請をするか、帰国するための渡航書を申請するかの2つの方法があります。
紛失届をする際には、現地の警察署で発行してもらう盗難・紛失証明書等が必要です。なお、証明書を発行してもらえない場合は、最寄りの日本大使館又は総領事館に相談に行きましょう。
■一文無しになった
まず、現地の警察署で盗難・紛失証明書を発行してもらいましょう。そして、大使館や領事館に行って、アドバイスをもらうのが良いでしょう。
さらに、国際送金を日本の家族に頼むのが良いでしょう。
ただ、家族への電話代が必要になるので、コレクトコール(通話料金を着信者に負担してもらうサービス)をするか、電話代を誰かに借りる必要があります。送金は宿の口座にしてもらうことが多いと考えられますが、宿の人が信用できるかは見極める必要があります。
また、緊急用のクレジットカードを発行するという手段もあります。
なお、海外で現金を受け取る方法として、パスポート送金と郵便局送金がありますが、どちらの送金方法にせよ、パスポートは必要になります。
■病気になった
すぐに現地の病院に行きましょう。ホテルに紹介してもらうか、現地の日本大使館や領事館で日本語又は英語の通じる病院を紹介してもらうと良いでしょう。
病院へ行くときは、あらかじめ海外旅行保険の相談ダイヤルに電話をかけ、海外旅行保険の提携先の病院に電話をかけて、予約をすると良いでしょう。
また、医師に診断してもらう際には、診断書をとりましょう。その際には、具体的な症状や、予後の指示を英語で記してもらうと良いです。
なお、外務省ホームページでは、一部の国・地域の医療機関の情報が掲載されています。
ワールドカップが開催されているブラジルに旅行に行く際には、蚊やサンショウバエなどに刺されると、感染症にかかることがあるので、長袖のシャツ、ズボンの着用や虫よけ剤の使用など、蚊に刺されないように対策を取りましょう。
また、狂犬病の患者が毎年報告されていますので、野犬や野良猫、コウモリなど、動物に近寄らないようにしましょう。
■現地で犯罪を犯した
海外で逮捕された場合、まず、滞在先を管轄する在外公館(日本大使館又は総領事館)への連絡を求めましょう。在外公館では本人との面会又は連絡を通じ、必要に応じ、法的手続きに即した解決が図れるよう弁護士や通訳に関する情報等を提供するほか、家族との連絡を支援することができます。
ただし、釈放や減刑等の要求、弁護士費用、保釈費用等の負担又は保証、取調べや裁判における通訳・翻訳を行うことはできません。
◾︎最後に
何かトラブルに巻き込まれた際は、以上の対応をとることをおすすめしますが、何よりもトラブルに巻き込まれない予防をすることに尽きます。
もしブラジルに行く方がいましたら、トラブルに巻き込まれない様にして楽しんで下さいね。
*著者:弁護士 鈴木翔太(弁護士法人 鈴木総合法律事務所)