「税金でやってる会社…調子乗ってんじゃねえよ!」ANA機長の暴言は法的に問題か

全日空の機長がFacebookで「倒産して税金でやってる会社…調子乗ってんじゃねえよ!」と発言し、波紋を広げています。

「倒産して税金でやってる会社」というのはライバル会社である日本航空(JAL)であることは間違いないでしょう。

このような批判(暴言)は法律上問題あるのでしょうか?検証してみたいと思います。

空港
■刑法上の犯罪

ライバル会社に対して機長が、ネット上で公然と「倒産して税金でやってる会社…調子乗ってんじゃねえよ!」などと記載して誹謗中傷する行為は、刑法上の名誉棄損罪もしくは侮辱罪が成立します。

 

■名誉棄損

名誉棄損罪は、他人の社会的評価・評判を低下させるような事実を具体的に指摘し、公然と他人の名誉を傷つけることが要件で、相手は個人に限らず、法人(会社)であって被害者となりえます。

今回の機長の発言は、Facebook上でなされているようですので、「公然」の要件は問題ないでしょう。

次に、「社会的評価・評判を低下させるような事実を具体的に指摘」の要件についても、「税金でやっている会社」という具体的事実を指摘していますので、充足すると考えられます。

日航が会社更生法の適用を受けて再建した事実は広く知られていることからすれば、「倒産して税金でやっている会社」という具体的事実の指摘によって、日航の社会的評価が低下するともいえます。

したがって、機長の発言は、日航に対する名誉棄損罪となります。

 

■侮辱罪

他方、機長の暴言が単に「調子乗ってんじゃねえよ!」だけだった場合、人に「バカ」と罵るのと同じで、具体的な事実を指摘していませんので、侮辱罪が成立するのみとなります。

 

■名誉棄損についてのよくある誤解

「本当のことを指摘しているだけだ。」

名誉棄損に関して意外と誤解している方が多いですが、本当のことを言っても、名誉棄損罪は成立します。

虚偽の事実で人の名誉を傷つけた場合に名誉棄損となるのはなんとなくわかりますが、本当のことをいって何が悪いの?と思う方がいるかもしれません。

しかし、刑法は、いわば相手の偽りの信用・名誉、不当に高い社会的評価・評判であっても、むやみに本当のことを指摘して暴き、相手の社会的評価を意思に反して低下させる行為を禁止しているのです。

政治家の汚職など、公共の事項について公益目的である場合には、名誉棄損の違法性が阻却されることもありますが、基本的には、事実であっても名誉棄損の対象になることには気をつけておきましょう。

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

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星野 宏明 ほしのひろあき

星野・長塚・木川法律事務所

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