現在、司法試験の受験回数は、法科大学院修了後または予備試験合格後、「5年以内に3回まで」という制限がありますが、今回の法改正によって、平成27年に実施される司法試験からは、受験回数が緩和されて、「5年以内に5回まで」受験が可能になります。
現在の司法試験は、従来の司法試験(いわゆる「旧司法試験」)よりも合格率が上がったとはいえ、年間の合格率は25パーセント程度ですので、依然として難関の国家試験であることには変わりがありません。
そのため、受験回数が3回から5回に増えれば、それだけ合格のチャンスが広がりますので、受験者にとってはありがたい制度変更のように思えます。
しかし、受験回数が5回に増えれば、1回の試験あたりの不合格者数も増えていきます。
そして、その不合格の人たちが、翌年以降も試験を受け続けるとすると、毎年、法科大学院修了後あるいは予備試験合格後に初めて試験を受ける受験者が一定数いるわけですから、1回の試験あたりの受験者数は必然的に増えることになります。
したがって、合格率は、現在よりも低下するでしょう。
以上のとおり、受験回数が増えるということは、受験者にとってメリットがあるように思えますが、1回の試験あたりの合格率は低下することになりますので、デメリットもあるということです。
司法試験の合格率の低さや法科大学院の高い授業料が負担となって、法科大学院に入学する人が年々減少していますが、今回の法改正によって、来年度以降の法科大学院入学者が増加するのかに注目したいところです。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)