性行為の動画をライブ配信(生放送)した男性が公然わいせつの疑いで逮捕されたと報じられています。
報道によると、男性は「海外サーバーなので大丈夫だと思っていた」と話しているとのことです。
この男性と同様「海外サーバだから大丈夫」と思っている方は多いようですが、今回、そういうわけではないということが明らかになったといえます。
では、実際にはどのような場合が問題といえるのか、説明したいと思います。
■刑法は国内で罪を犯したすべての者に適用される
刑法は日本における罪になるものを定めています。
そのため、日本国外で行われた行為については処罰対象にはできない、と考えている方が多いのが、「海外サーバだから大丈夫」と考えられている理由だと思われます。
たしかに、刑法は原則的には日本国内で犯罪が行われていることを想定していると思われます。
しかし、公然わいせつ罪は刑法174条で定められているのですが、刑法は「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」(刑法1条1項)とされています。
そのため、公然わいせつに当たる行為の一部でも日本国内で行われていれば、この罪が適用されることになります。
■撮影とアップロードが日本で行われていればアウト
公然わいせつにおける行為とは、公然とわいせつな行為をすることです。
本件は、海外サーバから配信されているのだから、行為が日本でされているとはいえないのではないか?という疑問を持つ人が多いのではないかと思われます。
しかし、本件ではライブ配信という形で行為が行われています。ライブ配信は、撮影をするのと同時進行的に海外サーバにアップロードし、配信も同時進行的に行うということです。
つまり、日本で撮影行為とアップロードする行為が行われているということになるのです。
そのため、公然わいせつに当たる行為が日本国内で行われていると言え、本件は違法となります。
このように、海外サーバを経由されていると追跡が難しくなるということは否定できないですが、海外サーバだから安心ということは、全くの誤解です。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)