はてなブックマーク(以下:はてブ)の水増し依頼を募集したページの存在が話題になっていました。
募集概要によると一回ブックマークするだけで「129円」の報酬ということですが、規約違反のため現在が見ることが出来なくなっています。
「はてブ」について説明すると、気になるサイトなどをネット上でブックマーク(お気に入り登録)でき、多くのブックマークがつけられたページは各所で紹介されます。多くのブックマークがついたことにより、多くのアクセスを稼ぐきっかけとなるため、今回の様な水増しの依頼がはびこります。
つまり、不正な手を使って人気のあるサイト風に見せようとしたということになります。
このようなステルスマーケティング、いわゆるステマの合法性について検討したいと思います。
■ステマと景品表示法
ステマを規制するものとして、景品表示法があります。
同法4条1項1号は、事業者が、顧客を勧誘する手段として、自己の提供する商品やサービスが、実際のものよりも「著しく優良」であると誤解される表示をする行為を、「優良誤認」として規制しています。
自身のサイトを人気サイト風に見せる行為は、実際のサイトよりも人気サイトに見えるわけなので、「著しく優良」といえる余地があります。
■違反する場合とは?
しかし、ここで問題とされるのは、あくまで「自己の提供する商品やサービス」についてです。
単に「人気サイト」であると誤解させるだけでは、商品やサービスが実際のものよりよいと誤解させるということにはなりません。
他方、そのサイトで商品やサービスを紹介しており、「はてブ」を利用することで注目度が非常に高い商品やサービスであると誤解させるような形になっていれば、どうでしょうか。
この場合、商品やサービスがほかに比べて極めて優れているように見えるため、優良誤認に当たる可能性がでてきます。
■景品表示法違反があると行政処分
景品表示法違反があると、その事業者が公表されるとともに、事業者に対して、その行為の差止めのほか、再発防止策等を公表するよう命じられます。
さらにこれに従わないと、「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」という刑罰が課されることがあります。
事業者にとっては、行政処分が公開されてしまうということは、その後の事業にとって非常に痛手です。
実際、私のところにもそのような表示をなんとか削除できないか、という相談が持ち込まれることも少なくありません。しかし、削除は非常に難しいことが多いため、普段から違法なステマをしないよう注意するべきでしょう。
*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)