Amazonは日本の法人税を「払っていない」適法か?

外国企業による「消費税逃れ」の実態が、参議院予算委員会で指摘されました。そして、そのような外国企業の例として、Amazonが取り上げられました。最近では、外国企業が税金を納めていないことに関する報道を耳にすることも増えてきました。

外国企業が消費税を納めないのであれば、消費税を納める国内企業は不利な競争をしなければなりません。

外国企業による「消費税逃れ」とは、どういうことなのでしょうか。これは脱税なのでしょうか。

脱税

■納税義務は全て法律に根拠がある

税金とは国家や地方自治体に納める金銭のことであり、国家等の財政を支える極めて重要な役割を担っています。税金が納められなければ国家等は活動に必要な財力を取得できず、事実上機能できません。

他方で、税金とは国家が権力を背景に国民等に課するものですから、行き過ぎがあれば国民は疲弊し生活の安定も得られません。

憲法84条は、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と明確に租税法律主義を定めています。国家等が不当な納税義務を国民に課すことがないように、税金を課するためには必ず法律の根拠が必要なのです。

■消費税の要件

消費税法は消費税を課する要件について、次のように定めています。

消費税法
(課税の対象)
第四条  国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。
3  資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。
一  資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)
二  役務の提供である場合 当該役務の提供が行われた場所(当該役務の提供が運輸、通信その他国内及び国内以外の地域にわたつて行われるものである場合その他の政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)

Amazonで電子書籍や楽曲を購入する場合について当てはめますと、これらは電子書籍や楽曲を利用する権利を得るものであって、「役務の提供」(同法4条3項2号)であると考えられます。

この場合、役務の提供をする者の事務所等の所在地が国内にある場合に消費税が課せられます(消費税法施行令6条2項)。つまり、Amazonの事務所が日本にあれば、Amazonは日本で消費税を納めなければなりません。

■Amazonは日本にない?

Amazonから電子書籍を買うと、その販売元はアメリカの会社になります。消費者は、日本に居ながらアメリカから「役務の提供」を受けることになるのです。この場合、消費税法の先の要件に当てはまりませんので、消費税は課せられません。

他方で、国内企業が同様のサービスを提供すれば、日本に事務所がある以上、消費税が課せられます。消費者は電子書籍の販売元が国内にあるか国外にあるか意識しないでしょう。その結果、事実上消費税分を安く販売できる外国企業が有利な立場になってしまいます。

しかし、いくら公平な競争を阻害する「税のゆがみ」があるとしても、法律に根拠のない課税はできません。Amazonとしては、法律上義務がないから消費税を支払っていないだけです。利益を追求する企業として、現行の制度を最大限適法に利用しているともいうことができます。「消費税逃れ」という表現は語弊があると言いたくなるかもしれません。

■この「穴」はなぜ生まれたのか

外国から貨物を輸入する場合、購入者が消費税を納めます(消費税法5条2項)。他方で、輸出する場合、上記の同法4条3項1号にも関わらず、消費税は免除されます(同法7条)。これは、仕向地主義といわれています。

「役務の提供」についても、仕向地主義により定めをしていれば、「消費税逃れ」の問題は生じませんでした。

しかしながら、消費税法制定当時は、国内企業と外国企業が競合する電子書籍販売に対する課税などほとんど検討されていなかったと思われます。

また、仕向地主義的に定めるにしても、税関を通らない電子情報のやり取りについて実効的な課税を可能なのか、数回のクリックだけで電子書籍を購入する全ての消費者に対して消費税を申告させることが可能なのか等、多く問題が指摘されており改正にも時間がかかるでしょう。

私たちが支払ったお金はどこへ行くのか。今後の議論が進む方向に注目したいですね。

*参考:三原じゅん子議員「お天道様は見ている」 – 政治ニュース : nikkansports.com

荻原邦夫
荻原 邦夫

荻原法律事務所

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