東京都がインターネットで購入できる折りたたみ式電動アシスト自転車数台のテストを行ったところ、ペダルををこがなくても、モーターだけで走り続けるものがあり、公道を走ると道交法に基づき反則金などが科せられる可能性もあるとして、都が注意を呼びかけているとのニュースが話題になっています。
なぜ公道を走ると道交法違反になってしまうのでしょうか。
■アシスト自転車と原動機付き自転車
道路交通法でいう自転車は、「ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ人の力により運転する二輪以上の車」です。もっとも、「人の力を補うため原動機を用いるもの」も自転車に含むとしているので、電動アシスト自転車も自転車の区分に入りますが、運転免許が必要な原動機付き自転車(いわゆる原付)との区別を明確にする必要があり、詳しく基準が定められています。
人の力を補う力は、時速10km以下の場合には人力の2倍以下、時速10km以上のときは、その速度に応じて比率が減り(時速をxとして、補う力 < 2-(x-10)÷7)、時速24km以上のときは補う力が加わらないこととされ、これらの基準を満たした場合のみ、原動機がついていても自転車として取り扱われるのです。
■電動アシスト自転車の基準を満たさない場合
今回、東京都がテストした電動自転車の中には、ペダルを漕がなくてもモーターが回り続け自走してしまうものが、5検体中3検体もあったようですが、これらは「人の力を補うため原動機を用いるもの」とは認められず、原動機付き自転車に該当します。
原動機付き自転車だとすると、道路を走るにはナンバープレートが必要ですし、原付免許を持っていない人が乗れば無免許運転となります。更に、ヘルメットの不着用、その他走行上の義務違反(例えば自転車のみ進入が可能な場所に進入すると違反に問われたり)というように、自転車の運転者としての義務を守っていた場合でも、道路交通法違反のオンパレードとなってしまいます。
■知らずに購入した場合
今回、東京都がテストした電動自転車は、「公道OK」とか「電動アシスト自転車」と表示され販売されていたようですので、購入者は、電動アシスト自転車と信じて購入したと思われます。
けれども、自走する自転車であることは、少し乗れば認識できると思いますので、購入時の認識はともかく、そのような自転車に乗っていれば、道路交通法違反に問われることとなります。
万が一、そのような自転車を購入してしまった場合には、販売時の説明と現物の状態が異なっていますので、販売店に電動アシスト自転車としての基準を満たす自転車への交換を求め、交換ができない場合には、契約を解除して返金を求めます。
■危ない自転車を購入しないためには
自転車の安全性を確認する手段として、以下のようなものがあります。
(1)一般財団法人製品安全協会の「SGマーク」
1973年に「消費生活用製品安全法」に基づき設立された製品安全協会(現・一般財団法人製品安全協会)が定めたSG基準に適合した製品であることのしるしで、自転車の場合には「自転車のSG基準」に適合した製品であることを表します。
(2) 一般社団法人自転車協会の「BAAマーク」
自転車業界の自主基準である「自転車安全基準」に適合した自転車であることのしるしです。
(3)公益財団法人日本交通管理技術協会の「TSマーク」
購入時や点検整備時に、道路交通法令に定められた大きさ、構造、性能等の基準に適合した安全な普通自転車であることが検査され確認されたしるしです。
今回問題となった自転車は、道路交通法違反になることも問題ですが、一部の電動アシスト自転車については急発進や急制動などの報告もあるようですので、このような製品を使っていると自分だけでなく他人の生命や身体も危険にさらしてしまうことになります。
電動アシスト自転車はとても便利ですが、安全性にも十分に配慮して選んでいただきたいと思います。