未公開株詐欺「株式会社なでしこグループ」手口と対策

消費者庁より注意喚起がなされました。

未公開株詐欺という単語は何度か耳にしたことがある方も多いと思いますが、未だ被害が拡がっているようで、その拡大防止の意味があるようです。

ただなんとなく知った気分になっているよりも、どんな仕組みになっているか詳しく知っておいたほうがいざという時に被害を未然に防ぐことができます。今回は「株式会社なでしこグループ」の事例についてその手口と対策を弁護士の私が解説してみたいと思います。

未公開株詐欺

未公開株とは、その名の通り公開していない株のことで、株式市場に上場していない株式のことを指します。今回のなでしこグループの詐欺はこの未公開株を用いた詐欺であり、その手口は大まかに言って以下の通りです。

■未公開株詐欺手口はどんなもの?

ある会社の未公開株が近々上場になるので株を買ってほしいというパンフレットを詐欺会社が客に送付します。

もちろんこのパンフレットを見ただけでは株を買う人はいないでしょうから、詐欺会社はさらなる手を打ちます。

別の人間が翌日に「私はその会社の株を買いたいのですが、この株はパンフレットが送られてきた人しか買えないそうです。申し訳ないのですが、私の代わりに株を買っていただけないでしょうか。買っていただけたら代金をお支払いいたします」という勧誘の電話を客にかけます。

そして、「申し込んでいただけたら謝礼に30万円支払います」などと言って、謝礼を支払うというエサを使って客を納得させます。

客はその電話を信用してしまい、また謝礼金欲しさに株式を申込むために詐欺会社に電話し、株の代金数百万円(1,000万円以上支払ってしまった方も!)を詐欺会社に支払います。ところが、実際には株購入代金は支払われず、結局まんまとお金をだまし取られただけで終わってしまうのです。

実はこの手口は東京オリンピック開催が決定した時にも使われた手口でした。未公開株をオリンピックの観戦チケットに置き換えただけで、内容、方法等は全く同じです。この手の詐欺は使い古されたものではあるのですが、依然として被害に遭ってしまう方がいらっしゃるようです。

■必読!詐欺被害の予防法とは

この手の詐欺被害の予防法なのですが、これはとにかく「簡単にボロ儲けできるような儲け話などあり得ない」ということを肝に銘じておくに尽きます。

また、日本人は几帳面であるのか、電話で一旦OKと言ってしまうと、怪しいと思っていても支払わないと悪いな、と思ってしまい、拒否できないという心理状態にも陥るそうです。

このような場合はとにかく支払う前に誰かに相談することです。支払った後では取り返しのつかないことになりかねません。

■万一支払ってしまったら

万一支払ってしまったら、とにかく早急に警察や弁護士に相談しましょう。1回支払ってしまった人は、詐欺会社からすると「カモ」と思われ、同じような詐欺の勧誘がどんどんやってきます。

もっとも、警察や弁護士を名乗ってさらなる詐欺を行うという手口もありますので、警察に相談するときは実際に警察署に出向く、弁護士に相談するときは実際に法律事務所に出向くということまでなされた方がよいでしょう。

詐欺の被害は依然としてとどまることを知りません。手をかえ品をかえいろいろな手口で皆さんの大切な財産を奪いに来ます。

先ほども言いましたが、とにかく「簡単にボロ儲けなどできない」ということを常に心がけ、詐欺被害に遭わないように注意しましょう。

*参考:未公開株の販売を委託されたと偽る「株式会社なでしこグループ」に関する注意喚起 – 消費者庁

山口 政貴 やまぐちのりたか

神楽坂中央法律事務所

東京都新宿区津久戸町4-1 ASKビル2-B号室

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