昨年末から、猛寒波が各地を襲っているというニュースを耳にすることが多いように感じます。
アメリカ合衆国ではナイアガラの滝が凍り、中国の内モンゴル自治区ではマイナス45.9度を記録し、北海道でも3日連続でマイナス20度が続いたということです。
自動車のバッテリー不調でエンジンがかからなくなったという事象も報告されており、普段と違う環境から思わぬ事故を発生させてしまう可能性が十分にあります。
「前が全然見えなくて…」「急な降雪でノーマルタイヤのままだった…」など自然現象をよりどころとした理由で、あなたが起こした事故の責任は軽減することができるのか?検証してみたいと思います。
自動車を運転していて事故を起こした場合に自然災害であることを理由に免責されるケースは多くありません。
■予見し、回避できるならば…
たとえ事故に自然災害が関わっていたとしても、運転者が事故の発生を予見し、事故を回避できる状況があれば過失が認められます。
運転中に、急激な豪雨や豪雪、地震等に見舞われた場合は、車両の運転者は事故発生回避のため、急ブレーキ、急ハンドルを避け、安全な速度まで減速し、必要な場合は車両を安全な場所に停止させるなどの注意義務を負います。
■急な積雪でも…
また、ノーマルタイヤで走っていて急な積雪があった場合に、タイヤチェーンを持ち合わせていないからと言ってそのまま運転を続けて事故を起こせば、民事、刑事の責任を問われます。
自然災害のために責任が軽減されるかどうかは具体的な事情次第ですが、危険な状況であるならそれに応じた対応をとるのが運転者としての当然の義務となりますので、その義務を怠ったとなると、むしろ責任は加重されることのほうが多いのではないかと思います。
■予見できるか、回避できるかかがカギ
つまり、想定外の大地震や異常低温によるエンジンストップなど、およそ事故の発生を予見できず、回避もできない場合でなければ、法的責任を問われると考えておいたほうがよいでしょう。
なお、悪天候や災害、車両の故障時など、危険な状況下において運転者がとるべき方法については、国家公安委員会が告示で、「交通の方法に関する教則」を定めています。
教則違反が直ちに道路交通法違反となるわけではありませんが、運転者が守るべきルールを定めたものですから、過失の有無の判断にあたっては、当該ルールが参考にされることがありますので、運転者はよく読んでおく必要があります。