夫婦が離婚をする際、子どもの養育費についてもめることがよくあります。
そこで、今回は、養育費は、どのような場合にもらえるのか、いくらもらうことができるのか、いつまでもらうことができるのかなど、養育費について説明したいと思います。
●養育費とは?
養育費とは、未成熟子が社会的に自立するまでに要する費用のことを言います。
●養育費がもらえるのはどのような場合か?
離婚に伴い子を引き取って養育する方の親が、もう一方の親に対して、養育費を請求することができます。
●養育費の額はどのように決定されるのか?
離婚する当事者の合意で自由に定めることができますが、調停・審判手続では、権利者(養育費をもらう方の親)の収入、義務者の収入、子の生活費を考慮して定められます。
現在、実務では、裁判所が発表している算定表に基づき、養育費の算定が行われています。
算定表は、インターネット上で公開されていますので、離婚の際に養育費をどのように決めたらよいのか分からないという方や、調停や審判になった場合、自分はどのくらいの養育費をもらうことができるのか(支払う必要があるのか)を知っておきたいという方は、是非、ご覧ください。
たとえば、5歳の子一人の養育費を決定する場合を考えてみましょう。
「子一人」で「0~14歳」なので「表1」を用います。(クリックで拡大)
縦軸の左欄の義務者(養育費を支払う側)の年収と横軸の下欄の権利者(養育費を受け取る側)の年収を認定します。
縦軸と横軸が交わった部分に記載されている金額が、養育費の額ということになります。
仮に、義務者が給与所得者であり、年収が600万円だとして、義務者が無職で年収が0円だとすると、養育費の額は、月6万円から8万円ということになります。
●養育費はいつまでもらうことができるのか?
前述のとおり、養育費は、未成熟子が社会的に自立するまでに要する費用なので、未成熟子が社会的に自立する年齢に達するまでもらうことができます。
社会的に自立する年齢とは、通常、20歳と考えられていますので、基本的には、子が20歳に達するまで養育費をもらうことができます。
●養育費の請求方法は?
まずは、当事者間の協議で養育費の額や支払方法等を決めることになります。
当事者間で合意ができた場合には、その内容を強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば、万一、養育費の支払いが滞った場合でも、裁判を経ることなく、相手の財産(不動産、預貯金、株券等)に対して強制執行をすることができます。
もし、当事者間の協議が整わない場合には、養育費請求の調停を申し立てたり、離婚手続と並行して、養育費の支払いを求めていくことになります。
なお、話合いがまとまらずに調停が不成立になった場合には、審判手続に移行し、裁判官が養育費の額を決定することになります。
*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)