YouTuber「なりすまし」問題…法的に罰することはできる?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

8月、ある人気YouTuberに詐欺疑惑が浮上し、大炎上。彼を信じていた人たちにとっては、「騙された」と感じる行動だった模様です。

その騒動に便乗して、SNSでは人気YouTuberの偽物が次々と登場。偽物と本物が入り混じり、何が真実なのかがよくわからなくなっているよう。

偽物アカウントの目的は、アフィリエイト収入を狙ったものであるとみられていますが、詳細は不明です。

 

■法的にネット上の「なりすまし」を罰することはできないのか?

YouTuberに限らず、TwitterやSNSでは芸能人の偽物が登場し、事務所が「本人ではありません」と否定することが多々あります。悪質なものになると、巧みに商品販売サイトやアフィリエイトリンクサイトに誘導し、収入を得るようなこともあると聞きます。

このようなネット上の「なりすまし」を法律的に取り締まることはできないのでしょうか? 法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に、ご意見を伺いました。

「なりすましを直接取り締まる法律はありません。ただし、名誉毀損罪に当たるような内容が含まれていれば、名誉毀損罪にて取り締まることができるほか、業務妨害の内容があれば、業務妨害罪に当たる余地があります」(清水弁護士)

残念ながらネット上の「なりすまし」行為を罰する法律は、現在のところ存在していないようです。

 

■「なりすまし」アカウントで得た収入はどうなるのか?

「なりすまし」行為で収入を得た場合はどうなのでしょうか?本人に収益を返すようなことは、できるのでしょうか?

「なりすましアカウントが収益を得ても、それはなりすました者の利益となるのが原則であり、その利益を取り上げるということは、法律構成としては考えられるものの、難しいと思われます」(清水弁護士)

なりすまし行為で得た収入についても、現状取り締まることは難しいようです。まだまだ法整備が追いついていないということでしょうか。

もちろん、法的に罰することが難しいといっても、なりすましが好ましくない行為であることはいうまでもありません。

 

*取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)

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*graphicalicious / PIXTA(ピクスタ)

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