何度も契約が更新されていたのに突然の雇止め…これって有効?

契約社員(契約期間の定めのある社員)にとって怖いのは契約を打ち切られてしまう雇止めではないでしょうか。

今まで何度も当然のように契約更新がなされていたのに、「仕事がなくなったから契約は今回までね」などと突然雇止めされるケースは違法ではないのでしょうか?

Q.契約社員だからって簡単に雇止めされるの?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

A.簡単には雇止めすることはできません。要件はかなり複雑です。

判例及び労働局の指針によると、雇止めが有効とされるかどうかは以下の内容を参考にされることになっています。

 

・業務の客観的な内容(業務が正社員と同一かどうか等)

・契約上の地位の性格(労働条件が正社員と同一かどうか等)

・当事者の主観的態様(契約が更新される見込みを会社が説明していたかどうか等)

・更新の手続き、実態(これまでどの位契約が更新されていたのか、また更新の判断はどうだった等)

・他の労働者の更新状況(同じような労働者がこれまで雇止めされた事例があったのか等)

 

上記を見ると、雇止めが有効になるのか無効になるのかはいかに複雑で、ケースバイケースで判断されることが分かると思います。判例も事例ごとに判断がかなり分かれています……。

ただ、これまで何度も「形式的」(ほぼ自動的)に契約が更新されていて、正社員とほぼ同内容の業務を行っており、なおかつ過去に雇止めの事案がほとんどないような場合において、合理的な理由もなく雇止めがなされた場合については、「解雇」に関する法律が類推され、雇止めが有効とされた判例はほとんどありません。

いずれにせよ、雇止めの無効を争うには契約の内容やその会社の実態を深く掘り下げないと一概に有効・無効の判断は難しいものです。

不当な雇止めを受けた場合、労働問題に詳しい弁護士や社労士に相談することをお勧めしますが、多くのケースではすぐに「違法」だと断定することは難しく、会社と交渉もしくは争う可能性が高くなるといえるでしょう。

 

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。

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*scb13 / PIXTA(ピクスタ)

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