「働き方改革」でどう変わる?「残業トラブル」でチェックしておきたい事例を弁護士が回答

第3次安倍内閣において最大のチャレンジとされている「働き方改革」に関し、罰則強化を含む残業時間の上限規制について、9月に発足する政府の「働き方改革実現会議」で具体的に検討するとの報道がありました。

日本では残業時間の上限が実質的にないような状態にある企業があることは周知のとおりです。「うちの会社はそんなに人を雇えない。」、「従業員を解雇するのは大変なので、必要最小限の従業員を雇って忙しいときは残業で対応しよう。」等の理由により残業で調整すると、以下のような残業に関する種々のトラブルが発生するおそれがあります。

今回は、トラブルになりやすい事例を紹介し、適切な労務管理に向けた注意喚起を行いたいと思います。

shutterstock_243482650

画像:http://www.shutterstock.com/

 

 

■長時間の残業が従業員の健康被害を招く原因に

従業員に対して長時間の残業を強いた場合、従業員に健康被害が発生しかねません。最悪の場合は従業員が亡くなることもあります。

長時間残業を強いる会社では適切な人員配置等の労務管理ができていないことがほとんどでしょうから、従業員が亡くなった場合は、人員が1人減って他の従業員の負担が増えてさらなる健康被害が発生するほか、役員等が訴えられる可能性が非常に高いです。

裁判例では、従業員に過労死ライン(月80時間の残業)を大幅に超えて労働させていたため、従業員が亡くなってしまった事件において、会社と役員に対して約7860万円もの支払いを命じたものがあります。この会社は給与の基本給部分にあたる最低支給額に長時間の時間外労働時間を組み込む給与体系を取り、時間外労働が所定の時間外労働時間に満たない場合には支給額から不足時間分を控除していました。

なお、過労死ライン以下の残業であれば適切な労務管理を行い、安全配慮義務を尽くしているといえるわけではないことを付言しておきます。

 

 

■残業代の未払い・不払い問題

インターネットで残業代の請求について簡単に知識を得られたり、弁護士をすぐに探せる時代ですから、残業代が支払われるべきなのに支払っていない場合には、最大過去2年分の残業代を従業員に支払うことになります。

「彼は課長だから。」、「店長だから。」などとして、労基法上の「管理監督者」に当たることを理由に残業代を払わなくていいと考えている会社も多いのですが、管理監督者に当たるか否かは、下記3項目を考慮して厳格に判断されますので、そう簡単に管理監督者に当たるとはいえません。

⑴企業の経営に関わる重要事項の決定に関する関与の程度、決定権限の有無

⑵労働時間についての自由裁量の有無

⑶地位や職務に見合う十分な賃金支給の有無

 

実際どうやって残業時間を減らしたらよいかわからないという企業からの相談もあります。

「働き方改革実現会議」で、企業にとっても無理なく残業時間を減らし、従業員が働きやすく残業に関するトラブルが起きない会社が増えるような規制と支援に関する事項が決められるといいですね。

 

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

*lassedesignen / shutterstock

木川 雅博 きかわまさひろ

星野・長塚・木川法律事務所

東京都港区西新橋1-21-8 弁護士ビル303

弁護士保険「Mikata」

コメント

コメント