「わいせつ画像」のリツイートだけではなく「お気に入り」でもアウトに?

「ツイッター」のリツイート機能を使って女子児童のわいせつ画像をインターネット上に公開したとして、児童ポルノ法違反などの疑いで横浜市の男ら2人が書類送検され、14歳の少年が児童相談所に通告されました。

自ら投稿するのではなく、「リツイート」機能でわいせつ画像を拡散し、摘発されるのは全国で初めてということです。そこで、今回はこの事件について、法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士に聞いてみました。

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●なぜ書類送検された?

「児童ポルノ規制法7条6項は、児童ポルノの電磁的記録を不特定多数の者に提供したり、公然と陳列する行為を罰することとしています。つまり、児童ポルノの画像データをインターネット上に流すことは、公然と陳列する行為に当たるということになります。」

 

●ツイッターのフォロワーの人数は関係ある?

「リツイートをするということは、その児童ポルノを改めて公然と陳列するということになります。したがって、リツイートだから許されるということはなく、この規制に当然に抵触することになります。そして、これはフォロワー数は関係がありません。なぜなら、フォロワーの有無にかかわらず、ツイッターは原則としては誰からも閲覧できるからです。」

それではツイートを友人など一部の人にしか見せない「鍵アカウント」だった場合はどうなるのでしょうか。

「鍵をかけている場合は、誰からも見ることができるわけではないので、「公然と」といえるかという問題が出てきます。しかし、児童ポルノを電気通信回線を通じて提供することが同法7条2項により規制されているので、これに抵触するということになります。」

 

●「お気に入り」でもアウトに?

現在、ツイッターでのお気に入りが自動的にタイムラインに流れる機能があり、フォロワーに見えてしまう可能性がありますが、その点はどうなのでしょうか。

「お気に入りも、タイムラインに流れる機能がある以上、実質的にリツイートと同じ機能があるといえます。そのため、同じ結果になるのではないかと思います。」

 

●ツイッター連携の自動投稿サービスの危険

「連携サービスによる自動投稿といっても、基本的に自分が他の媒体(たとえば、Facebookなど)に投稿したものがツイッターにも流れるという仕組みのはずです。そのため、自分の行為が介在しており、かつ、連携の設定をしているのも自分のはずです。そのため、これもアウトになると思われます。」

では、出会い系サイト等の怪しいアプリやサービスなどとTwitterアカウントを連携させてしまうと、勝手にサービスやアプリ運営者によって自由な文言や画像が投稿されてしまうことがあります。こちらも連携したのは自分だからダメなのでしょうか?

「ケースバイケースだと思います。サービスやアプリ運営者によって自由な文言や画像が投稿されているという場合には,基本的には責任はないということになると思います。しかし,明らかに児童ポルノや怪しげな投稿ばかりをしているのに,それを知りながら放置していたような場合には責任を負う余地はあると思います。」

最後に清水弁護士はインターネットを使う上での心がけについて語ってくれました。

「インターネット上のサービスは気軽に使えてしまいますが、実は違法なことが非常に多いです。リツイートしただけ、コピペしただけということは通らない反論なので、安易な行動をしないよう、ボタンを押す前に一度立ち止まることが必要でしょう。」

 

*協力弁護士:清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

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