知っておきたい代理母出産の問題点や日本の現状

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■代理出産とは

代理出産とは、代理母出産または代理懐胎ともいいますが、子を持ちたい女性(依頼女性)が、生殖医療の技術を用いて妊娠すること及びその妊娠を継続して出産することを他の女性に依頼し、生まれた子を引き取ることをいいます。

不妊治療を施したものの、実際には子どもを授かるまでには至らない場合、代理出産が最終手段として選ばれることもあります。

代理出産には、サロゲートマザーとホストマザーという二種類の方法があります。

サロゲートマザーは、一般に、夫の精子を第三者の子宮に人工授精の手技を用いて注入して懐胎させ、この第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものです(出産すること自体はサロガシーと言います)。

これに対し、ホストマザーは、一般に、妻の卵子を体外受精で行われる採卵の手技を用いて妻の体外に取り出し、夫の精子と受精させ、胚となったものを第三者の子宮に移植することによりこの第三者を懐胎させ、この第三者が妻の代わりに妊娠・出産するものです。

 

■日本国内や諸外国における代理出産をめぐる規制について

日本では、現時点において、生殖補助医療を規制する法律はありません。産科婦人科学会の会告によって自己規制されているのみです。今後法整備が整う可能性もあります。

これに対し、諸外国をみてみると、立法化されている国が多く、代理出産を禁止する国と許容する国がわかれています。

代理出産を禁止している国には、フランス、ドイツ、イタリア、スイス等があります。

他方、全面的ないし部分的に代理出産を許容している国には、イギリス、アメリカ(一部)、オランダ、ベルギー、カナダ、ハンガリー、フィンランド、オーストラリア(一部)、イスラエル、デンマーク、ギリシャ、ルクセンブルク、ロシア、アルゼンチン、ブラジル、インド、ニュージーランド、ベトナム等があります。

こうしてみてみると、先進諸国の中では、部分的にせよ代理出産を許容している国が多いことがわかります。

 

■代理出産が問題となった事例

プロレスラーの高田延彦・女優の向井亜紀夫妻がアメリカで実施した代理出産について裁判所に訴えたという事例がありました。

高田夫妻は、妻の向井さんが子宮がんのために懐妊することできなくなったので、自らの卵子と夫の精子との体外受精卵を代理母に移植して出産してもらいました。

そして、帰国後に子を嫡出子(夫婦の間の実の子)として戸籍係に届け出ようとしたのですが受理されなかったため、東京家庭裁判所に提訴しました。しかし、訴えは却下されてしまいましたので、これを不服として東京高等裁判所に控訴しましたところ、嫡出子として受理することが認められました。

しかし、最高裁は、「子を懐胎、出産していない女性との間には、その女性が卵子提供した場合であっても、母子関係の成立を認めることはできない」と述べて、嫡出子であることを認めませんでした。この判決は、「子を産んだ者だけが母親である」という従来の考え方を貫いたものです。

高田夫妻は、結局、戸籍上は、特別養子関係としての扱いを受けています。

 

■日本学術会議報告書の提言

2007年から、厚生大臣・法務大臣の諮問を受けて日本学術会議で「生殖補助医療の在り方検討委員会」で審議がなされてきました。そして、2008年4月に報告書が提出されました。

その報告書は、10項目の提言からなりますが、主たる内容としては、以下のようにされています。

(1)代理懐胎については、法律による規制が必要であり、それに基づき原則禁止とすることが望ましい。(2)先天的に子宮をもたない女性及び治療として子宮の摘出を受けた女性に対象を限定した、厳重な管理の下での代理懐胎の試行的実施は考慮されてよい。(3)代理懐胎により生まれた子の親子関係については、代理懐胎者を母とする。(4)代理懐胎を依頼した夫婦と生まれた子については、養子縁組または特別養子縁組によって親子関係を定立する。

このように、代理出産を原則禁止としつつ、試行的に一部許容するという結論になっています。

代理出産を全面的に許容することは、それにより生じる様々な問題を考慮すると難しいかもしれませんが、少なくとも先天的に子宮を持たない女性や子宮の摘出を受けた女性に限定して代理出産を許容することは許されるべきでしょう。

 

*著者:弁護士 鈴木翔太(弁護士法人 鈴木総合法律事務所)

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鈴木 翔太 すずきしょうた

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