嫌がらせ画像を削除可能に!? リベンジポルノを法解説

「リベンジポルノ」を規制する新法制定にむけ、自民党は27日、特命委員会を設置して議論を始めたことが報道されています。

リベンジポルノというのは、恋人や配偶者との関係が破たんした際、腹いせに、プライベートで撮ったわいせつな写真・動画などをばらまく行為を指します。

報道によると、ネット上の画像や動画の削除をプロバイダに求めることを可能にするとともに、加害者への罰則規定を盛り込むことを検討しているそうです。

リベンジポルノ

法律を新たに作って規制をするというと、現状ではリベンジポルノが法的に問題ない行為と捉えられているように感じる人もいるかもしれません。

■現行でもリベンジポルノに対応できる

しかし、現行法上でも、児童買春・児童ポルノ禁止法(ただし、被写体が18歳未満の場合)、わいせつ物公然陳列罪、名誉毀損罪、ストーカー規制法といったものを適用することができ、これによって刑事処分をしていくことが可能です。

また、画像や動画の削除についても、プロバイダ責任制限法などにより行うことができます。したがって、新法がなくてもリベンジポルノに対応することは可能です。

■新法を作る意味は?

しかし、リベンジポルノは、他人に見られたくない裸や性交中の画像・動画を流出させるものである以上、これによって被害者が受ける損害・被害は非常に大きいものがあります。しかも,ネット上にいったん流出した画像や動画を全て消し去ることは事実上極めて困難です。

そのため、法律を作ることにより、より直接的に行為が規制されることになれば、「これをやったら自分は逮捕されるかもしれない」という意識を持たせることができるかもしれません。その意味では新法を作る意味はあるかもしれないとは思います。

リベンジポルノに関する相談は私のところにもありますが、そこでの課題は、いかに画像や動画を素早く削除するかという点です。現状では、プロバイダ責任制限法などを使うわけですが、それだとおおむね7日間程度かかることになっています(なお、より短時間で対応してくれるところもあります)。

そこで、この期間をより短くなるような規定を設けることができれば、被害の救済に役立つのではないかと思います。

なお、同じような改正としては、ネット選挙においてネット中傷に対応するための規定が新設されたということがあります。

■外国との連携に期待

ところで、インターネットというのは国内だけで完結しているものではありません。インターネットは容易に国境を超えますし、日本にいながら海外のサービスも多数利用できます。そのため、リベンジポルノの画像・動画が海外のサイトに掲載されるということも十分あるわけです。

しかし、海外に当然に日本法が及ぶわけではなく、外国のプロバイダに対して画像・動画の削除を請求する法的な根拠は特にありません。

そのため、この点の手当も必要になってきます。

記事では、外国で同様の法律を持つ国と条約を結んで対応することも課題とするということが書かれており、この点はリベンジポルノに限らず、ぜひ進めていただきたいところです。

清水 陽平 しみずようへい

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

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