夫のカードで勝手にキャッシングしたら犯罪!?弁護士の見解は?

関係が破綻している夫婦とはいえ、離婚するまでは相手の財布からお金を抜いても「泥棒」にはなりません。家庭内のお金は共有財産だからです。では、離婚調停中の別居夫婦ならばどうでしょうか。

ビデオレンタル店のレンタル会員カードでさえ、本人以外、それが家族であっても使用を禁止されていますよね。配偶者名義、ましてや離婚調停中の相手名義のクレジットカードを無断で使用してキャッシングしても夫婦なら許される…? そんな疑問を秋葉原よすが法律事務所の近藤美香先生にぶつけてみました。

 

この問題を考えるには、(1)クレジットカード会社との関係ではどうなるのか、(2)配偶者との関係ではどうなるのか、2つを分けて考える必要があります。

まず(1)ですが、クレジットカード会社との契約(約款)で、①カードを使えるのは名義人だけ ②他人に貸してはいけない ③貸した結果生じた債務は名義人が支払わないといけない、という趣旨の決まりがあるのが通常です。

次に(2)ですが、キャッシングを不当に使われたという点は、最終的な財産分与のところで清算することが一般的。もっとも、離婚するまでは婚姻費用が発生するため、婚姻費用を決める際に支払済みの婚姻費用として考慮する場合もあります。

 

夫婦関係が破綻し、別居中の配偶者がこれを行った場合訴えることはできますか?

その金額を配偶者が手元に置いておける法律上の原因がなく、そのことであなたに損害が生じたと言える状況なら、『不当利得返還請求訴訟』で返せと言える可能性はありえます。もっともその場合でも、勝手に使われたと言ってもキャッシング枠はふつう50万円程度でしょうから、この金額を訴訟で回収するのはコスト倒れになってしまう可能性が高くなります。したがって、このような場合、離婚時に財産分与をする際、キャッシング金額については配偶者が既に受領したものとして考慮するなどの方法で解決することが多いと考えられます。

 

無断使用された側に支払い義務は生じるでしょうか?

あなた名義のカードでキャッシングした以上、クレジットカード会社に返済する義務はあなたにあります。いくらATMを操作してキャッシングしたのが配偶者であっても、あなた名義のカードでキャッシングした以上、配偶者が支払う義務はありません。

 

離婚後に支払いが困難になった場合、破産免責などの手続きの中で、無断使用されたことを有利な事情として考慮してもらえますか?

ほとんど関係ありません。よっぽど悪質な場合でなければ、自分の浪費が原因で作った債務であっても、通常は破産免責が認められているからです。

 

 

そもそもクレジットカードを配偶者に貸すことはカード会社との契約違反です。自身の意思で自分名義のカードを配偶者が自由に使える状態にしておき、配偶者が勝手にキャッシングしたとしても、それは自身の責任です。したがって、後から文句を言うのは、筋が悪いとしか言いようがありません。

配偶者には自身名義のカードを使わせるのではなく、家族カードを渡しておくべきでしょう。そして配偶者が信用できないなら、別居が決まった時点で、家族カードを使えないようにしておくべきです。もしあなた名義のカードを渡している場合は、とりあえずそのカードを使えないよう手続きすることをすすめします。『婚姻費用をわざわざ振り込むよりカードを使わせておいたほうが楽』という場合もあるでしょうが、その場合は勝手に使われてしまうことも覚悟しておくべきと言えます。

弁護士監修/ 近藤美香(秋葉原よすが法律事務所。家事事件を専門的に取り扱い、500件以上の家事事件を取り扱った経験を持つ。JADP認定の夫婦カウンセラーの資格を保持している。)

近藤 美香 こんどう みか 弁護士

秋葉原よすが法律事務所

東京都台東区浅草橋5-2-3鈴和ビル4-A

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