自分の悪口をネットに書く人が…どうすれば特定できる?

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プロ野球選手が匿名掲示板で妻の悪口を書いたことで、名誉が侵害されたとして損害賠償を求めたことが話題になっています。

匿名であればバレないと考えている人もいるかもしれませんが、実際には悪口を書かれた側がなんらかの理由で書き込みをした人を特定しようとしていないだけで、書き込んだ人を特定できるケースが多いです。

今回は、どのように特定をするのか解説してみたいと思います。

 

■匿名の書き込み者をどのように特定するのか

書込みをした者を特定するためには、基本的には以下の2つのステップを経る必要があります。

 

(1)書込みをされたにサイトの管理者(管理会社)にIPアドレス等の開示をしてもらう

(2)開示されたIPアドレス等の情報をもとに、プロバイダに対して契約者の情報を開示してもらう

 

サイトの管理者というのは、たとえばヤフー知恵袋であればヤフー、アメーバブログであればサイバーエージェントといったところです。

プロバイダというのは、OCNやSo-net、エキサイト、ドコモ、KDDI、ソフトバンクなどです。

IPアドレスはインターネット上の住所などといわれることがありますが、IPアドレスから分かるのは、せいぜいどのプロバイダが使われているのかということくらいであり、これだけで個人の特定ができるわけではありません。

そこで、プロバイダに対して、そのIPアドレスをいつ誰に割り振っていたのかということを調査してもらうことではじめて、誰が契約しているのかが分かる仕組みになっています。

ただし、特定するためには通信記録(ログ)が残っていることが必要です。ログの保存については法律上決まりがなく、各社の判断になっていますが、3ヶ月程度(長いと6ヶ月程度)しか保存がされていないことが一般的です。

したがって、その間に、少なくとも(2)のプロバイダへの開示請求まで辿り着かないと、書き込んだ人を特定することはできないということになります。

 

■権利侵害があると開示請求や損害賠償が認められる

開示請求や損害賠償請求が認められるためには、権利侵害があるといえることが必要です。

そのためには、

 

(1)その書込みが「現実の自分」に対してされているものかが分かること

(2)書込み内容が名誉権やプライバシー権、名誉感情等の権利を侵害するものであること、

(3)侵害について違法性がないといえるような事情がないこと

 

といった点を満たしていることが必要です。

名誉権とは、社会的評価のことであり、この低下があると名誉権侵害となります。

しばしば、名誉感情と混同されていることもありますが、名誉感情は自分が自分について持っている評価についてのものであり、社会的評価という外部からの評価とは異なるものです。

プライバシーは、私生活上の事実または事実らしく受け取られるものが当たるとされます。

たとえば、不倫をしているという指摘を受けた場合には、それが本当か嘘かにかかわらず、一般的に不倫は良くないこととされているため、社会的評価の低下があるといえます。

また、不倫は私生活上のことであるため、プライバシー権侵害にもなり得ますし、自己評価についての侵害にもなり得るため、名誉感情侵害とも言い得ます。

違法性がないといえるかどうかについては、侵害された権利によってその要件が異なります。

名誉権侵害については、公共性、公益目的、真実性があれば違法性がないとされます。不倫が真実であれば、違法性がないという余地があるということになります。

プライバシー権侵害や名誉感情侵害については、受忍限度を超えるかどうかという観点から判断されることが多く、不倫が真実であるとしても、これを公表するべき正当な理由があるといえるかどうかなど種々の事情を検討することになります。

 

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

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清水 陽平 しみずようへい 弁護士

法律事務所アルシエン

東京都千代田区霞ヶ関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F

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