離婚後に不倫の事実が発覚…慰謝料は請求できる?

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現在、日本では3組に1組の夫婦が離婚するといわれています。それだけの夫婦が離婚をするとなれば、離婚に至る原因も様々でしょう。

離婚の際に相手方に落ち度があれば慰謝料の話をしますし、もし子どもがいれば養育費の話など、金銭の話は離婚には付き物のように思います。

今回はそんなお金の話の中でも“離婚後に元配偶者の不倫の事実を知った”という場合の慰謝料について解説してみたいと思います。

 

■離婚後に慰謝料の請求はできるのか?

まず一般論としては、離婚後であっても慰謝料の請求をすることは可能です。

慰謝料は、一言でいえば“婚姻を破綻させた落ち度が相手方にある”という場合に、“離婚によって配偶者の地位を失う精神的苦痛を慰めるためのお金”として認められます。

具体的には、相手方の不貞や暴力、性交渉拒否といったものがあげられます。

いわゆる性格の不一致や価値観が合わないという場合に慰謝料を支払ってほしいというご相談を受けることがありますが、このような場合はお互い様という面がありますので、裁判所で慰謝料を認めてもらうことは基本的に難しいです。

ちなみに離婚前の話し合いの段階であれば、あなたと相手方の双方の状況によっては、慰謝料ではなく違う名目での支払いを認めさせる余地もありえるでしょう。

 

■離婚後に元配偶者の不倫が発覚…慰謝料請求は可能?

「婚姻時の元夫・妻の不倫が後になって発覚した」という場合であっても、元夫・妻あるいはその不貞相手に対して、離婚後に慰謝料を請求することは可能です。

ただしこの場合、「不倫が婚姻を破綻させたといえるのか」という点を争われる可能性が出てきます。

つまり、慰謝料を請求された相手方としては、「現実には不倫の事実を知らずに離婚したのだから、不倫と離婚との間に因果関係はない。自分の不倫が婚姻を破綻させたわけではないから、慰謝料支払い義務はない」と反論してくる可能性があります。

慰謝料請求についての協議がまとまらず民事訴訟で請求するとなると、あなたの側で、たとえば家庭内不和が(当時は気づかなかった)不倫の結果であったことを立証することなどが必要となってきます。

結論的には、不倫が発覚した直後に離婚する場合と比べるとハードルが上がってしまうことは否定しがたいように思われます。

「婚姻時の元夫・妻の不倫が後になって発覚した」という場合でも、少し気を付けておけば離婚前に気が付いたはずということも多いです。不倫がないかどうかなどについて、離婚する前によく調べておくべきでしょう。

 

■離婚後の不倫発覚…慰謝料額は変わる?

慰謝料額はまずは話し合い、話がまとまらなければ最終的には裁判官が諸般の事情を総合的に判断して決めることになります。

そして離婚後に不倫が発覚した場合は、不倫発覚直後に離婚する場合と比べると低額になる傾向にあります。

ここで問題となるのは、先に述べた不倫と離婚との因果関係です。不倫直後に離婚する場合であれば、不倫の事実によって離婚するという因果関係が客観的にも明白です。

しかし、離婚後に不倫の事実が発覚したという場合には「そもそも不倫と離婚とに因果関係がないのでは?」という疑いが出てきてしまいます。

仮に因果関係があるとしても、“離婚によって生じた精神的苦痛が全て不倫のせいだとはいえないだろう”などと裁判官に判断されてしまう可能性があるのです。

 

■慰謝料請求には時効がある

慰謝料請求権は、基本的には離婚成立から3年で時効にかかってしまいます。

ただし、離婚成立後に不倫相手が誰であるかを知ったという場合であれば、その人物に対する慰謝料請求権については、知ってから3年までは時効にかからないことになります。

もっともその場合でも、不倫と離婚との因果関係が争われる可能性が高いという別の問題は残りますので、その点についても事前によく検討しておくことが必要です。

繰り返しになりますが、“不倫が原因で離婚した場合”と“離婚後に不倫が判明した場合”とは大きく異なってきます。

前者なら離婚で受けた精神的苦痛についての慰謝料が認められる可能性は十分ありますが、後者の場合には先に述べた因果関係が問題とされる可能性は高いです。

そのため、場合によっては、“離婚して時間も経っているし、元夫・妻が不倫していたとしても自分にはもう関係ない”と割り切って、今の生活に注力するほうがよいこともありえます。

 

*著者:弁護士 近藤美香(秋葉原よすが法律事務所。家事事件を専門的に取り扱い、500件以上の家事事件を取り扱った経験を持つ。JADP認定の夫婦カウンセラーの資格を保持している。)

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近藤 美香 こんどう みか 弁護士

秋葉原よすが法律事務所

東京都台東区浅草橋5-2-3鈴和ビル4-A

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