不倫の期間や回数は慰謝料の金額に影響するの?

配偶者の不倫が発覚すると、慰謝料はどれくらいになるのかと気になる方も多いのではないでしょうか?

「慰謝料の金額の算定要素に不倫の回数や期間の長さがあるのでは?」と思いながらも、実際はどういった基準で慰謝料が決定されているのか詳しくは分からない、という方が大半なのではないでしょうか。

そこで、今回は不倫の期間や回数が慰謝料の金額にどう影響を与えるのか解説していきたいと思います。

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■不倫期間の長さはどう慰謝料にどう影響する?

結論からいえば、不倫期間が長ければ慰謝料の金額は高くなり、不倫期間が短ければ慰謝料の金額は低くなります。

では、どのくらいの期間であれば、「長い」あるいは「短い」と判断されるのでしょうか。

まず、不倫期間が数年に及んでいれば、「長い」といえることに異論はないでしょう。また、1年程度のケースでも「比較的長期間」として考慮されている判例があります。

さらに、東京地判平成22年3月25日は「被告とAの不貞の期間は、被告が渡米するまで約5カ月に及んでいた」と増額要素として評価しているように思われます。

ここからすると、不倫期間が5、6か月を超えてくれば「長い」と判断される可能性が高いと考えられます。

 

他方で、不倫期間が1、2カ月程度である場合には「短い」と判断されています。

東京地判平成19年9月28日では「被告がAと交際していた時期は、2か月ないし3か月程度の短期間」、東京地判平成23年1月25日では「交際期間は1か月余りにとどまる」といった評価がされています。

したがって、不倫期間が1~3か月程度であれば、「短い」と判断されると考えられます。

 

■不倫行為の頻度や回数はどう影響する?

これは、上記の不倫期間の長短と同様ですが、不倫行為の回数・頻度が多ければ慰謝料が高くなり、不倫行為の回数・頻度が少なければ慰謝料が低くなります。

たとえば、東京地判平成25年12月4日は「本件の不貞期間は少なくとも8か月程度であり、原告宅におけるものを含めて、継続的に少なくとも20回程度の性交渉」と評価されています。

また、岐阜地判平成26年1月20日は「被告とAは、平成24年1月10日から同年6月末ころまで本件不貞関係を継続し、本件不貞関係における性交渉は、1か月に少ないときで2、3回、多いときで4、5回くらいであり、本件不貞関係は同年6月末ころまで続いた」(性交渉は20回程度))と認定し、その回数を「多い」と評価して、慰謝料の増額要素としております。

ここからすると、不倫行為の回数が10~20回を超えるようであれば「多い」と評価される可能性が高いと考えられます。

もっとも、実際の性交渉の回数を、客観的な証拠で立証することは難しいですから、不倫期間が長いことや、性交渉に関するメール等のやりとり、その他の状況から推認することになるでしょう。その意味で、不倫行為の回数は、不倫期間の長短の問題と密接に関連することになります。

他方で、不倫行為の回数が1~3回程度であれば「少ない」と判断されているようです(東京地判平成25年3月21日「不貞行為は1回にすぎない」、東京地判平成20年10月3日「肉体関係を持った回数は、合計3回にとどまる」等)。

 

■不倫相手との間に子どもが出来ていた場合は?

たとえば、不倫行為の結果、配偶者と不倫相手との間に子どもが生まれた、あるいは中絶したなどの事情は慰謝料の増額要素となるのでしょうか。

結論から言いますと、不倫行為の結果、妊娠したという事情は(出産する場合でも中絶する場合でも)、慰謝料の増額要素となります。これは当然といえるでしょう。

裁判例もこの点を厳しく非難し、慰謝料の増額要素として考慮しています。

たとえば、東京地判平成16年2月19日は「被告は、Aとの肉体関係を継続して子を懐胎、出産し、以後も同人に生計を依存しているのであり、このように解消困難で恒久的な不貞関係の形成、継続に加担した点で被告の責任は軽視し難いものがある。」としています。

また、東京地判平成21年4月16日では「被告は、Aに自身の子を妊娠させており(被告は、その妊娠自体、Aが望んだことであるかのように主張するが、仮にそれが事実だったとしても、不貞の関係にある男女の間柄で、あえて婚姻外の子の妊娠を望んだり、少なくとも避妊に十分な気を遣わないということ自体、非常識極まりないことというべきであるし、原告の心情を極めて害する行為というべきである。)、これら一連の行為が、夫としての原告の気持ちを著しく傷つけ苦しめ、また当然ながらその体面やプライドをも傷つけたことは明らかである。」としています。

そして、この不倫相手との間に子どもができたという事情は、行為の悪質性、受ける精神的苦痛の甚大さから、一般的に慰謝料が高額になることが多いようです(東京地判平成15年9月8日(500万円)、東京地判平成21年1月26日(550万円)、東京地判平成22年4月5日(300万円)、東京地判平成24年4月12日(260万円)等)。

 

以上からも分かるとおり、不倫期間の長短や回数・頻度、不倫相手との間に子ができたかどうかという点は、慰謝料の金額の増減の考慮要素になり、その考慮の際には、各事案における個々の事情を総合的に考慮することになります。

ですので、その点は、専門の弁護士に質問、相談された方がよいでしょう。

 

*著者:弁護士 伊倉吉宣(伊倉綜合法律事務所。離婚・男女問題をはじめ、労働トラブルや交通事故問題など幅広く取り扱う。)

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伊倉 吉宣 いくらよしのり

伊倉総合法律事務所

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