全ての不倫が慰謝料請求の対象? 不法行為成立の要件とは

今年も12月に入り、2016年も終わりを迎えようとしていますね。平穏無事に年を越すことができれば良いですが、12月は探偵事務所や興信所での調査が増加するという傾向にあるそうです。

というのも、12月は「忘年会で遅くなる」といったウソが成立しやすく、浮気・不倫相手との時間が作りやすい時期であるからだそうです。

パートナーが不倫した場合、不法行為になり、損害賠償請求(慰謝料請求)ができることが多いですが、全ての不倫が不法行為となるわけではありません。そこで、今回はどういったことが不法行為成立の要件として挙げられているのでしょうか、解説していきたいと思います。

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■不法行為成立の要件とは

不法行為とは、「故意または過失によって他人の権利・利益などを侵害した者は、この侵害行為(不法行為)によって生じた損害を賠償する責任を負う」というものですが、この不法行為が成立するための法律上の要件は次のとおりです。

①:権利・利益の侵害

②:損害の発生

③:①と②の間の因果関係

④:故意・過失

(⑤:責任能力があること)

不法行為が成立するためには、これらを満たす必要があるわけですが、不倫(不貞)の場合には、どのような事実がこれにあたるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

 

不倫事案における「権利・利益」については、考え方がいくつかありますが今回は、「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」という考え方を念頭に置くことにします。

次に「侵害(行為)」ですが、前回ご説明したように、法律上、「不貞行為」の典型的な行為は、性行為・肉体関係であり、これが侵害行為になることは明らかです。

では、性行為・肉体関係がないと、「侵害行為」とはいえないのでしょうか。

何が侵害行為であるかは、“何が侵害されるのか”、すなわち、先ほどお話した「権利・利益」から考えることになります。

そうすると、婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利が「権利・利益」であるならば、「侵害行為」は婚姻共同生活の維持を妨げるような行為と考えるべきでしょう。少しわかりづらいですが、言い変えると、夫婦として(平穏に)生活を共にしていくことを妨げる行為のことです。

実際、裁判例も「第三者が相手配偶者と肉体関係を結んだことが違法性を認めるための絶対的要件とはいえない」と述べておりますし、一方で、肉体関係がなくても「侵害行為がある」と判断している裁判例もあります。

 

*著者:弁護士 伊倉吉宣(伊倉綜合法律事務所。離婚・男女問題をはじめ、労働トラブルや交通事故問題など幅広く取り扱う。)

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伊倉 吉宣 いくらよしのり 弁護士

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