あなたもしているかも? 知らないとまずい「パワハラ」の定義とは

●職場における強要行為

職場における上司の強要行為は、ときとしてパワーハラスメントに該当し、違法性を帯びることがあります。

「パワーハラスメント」とは、直訳すると「権力を利用した嫌がらせ」です。

厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議が平成24年3月に公表した「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」においては、職場におけるパワーハラスメント(以下、単に「パワハラ」と言います。)とは、「同じ職場で働く者に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています。

 

●パワハラを構成する重要な要素

ここで重要となる要素は、(1)職場内での優位性を背景にしているか否か、(2)業務の適正な範囲を超えているか否かの2点です。

まず、職場内での優位性には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。

そうすると、一般的に考えられているような上司が部下に対して行うものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、部下から上司に対して行われるものであっても、パワハラに該当し得ることになります。

次に、業務の適正な範囲を超えているか否かですが、上司は、その権限を行使して、業務上の指揮監督や教育指導を行い、与えられた職責を果たすことが求められます。

そうすると、業務上の必要な指示や注意・指導は、たとえこれを受けた側が不満に感じた場合でも、業務上の適正な範囲で行われている限り、パワハラには該当しません。

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制したり(過大要求)、逆に、業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じたり、あるいは仕事を与えない(過少要求)ことは、パワハラに該当することになります。ただ、何分にも評価の問題であるため、線引きが難しいといえます。

最近話題となったテレビ番組のディレクターが、出演者に対し、特定のセリフを言うことを強制し、当該出演者に精神的な苦痛を与えることは、それが業務上の必要性、適正性があるものと認められない限り、違法性を帯びるものといえます。

特に、バラエティ番組の場合には、視聴者の関心を引くという目的があるとしても、出演者の人間関係に亀裂が入りかねないようなセリフを言わせるというのは、やはり行き過ぎのような気がします。

 

●パワハラの法的責任

パワハラは、これを行った本人だけでなく、企業にも、被害を受けた者に対する慰謝料等の支払義務など、民事責任を生じさせますます。企業は、社員にとって働きやすい職場環境を保つように配慮する義務(職場環境配慮義務)を負っているからです。

また、暴行又は脅迫を用いた悪質な強要行為は、さらに強要罪として、3年以下の懲役に処せられることにも注意が必要です。

 

*著者:弁護士 田沢 剛(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)

田沢 剛 たざわたけし 弁護士

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

横浜市港北区新横浜3-19-11-803号(加瀬ビル88)

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