アルバイトと正社員の法律上の違い、実は無い?

●そもそもアルバイトとは?

世間では、本業のある学生などが契約期間を限定して働く形態を「アルバイト」と、主婦などが契約期間を限定して働く形態を「パート」と呼んで区別しているようですが、これはあくまでも一般的な慣例上のことです。

また、企業によっては、月給で働く労働者を「正社員」とし、時給で働く労働者を「パート」と扱っているところもあるようです。いずれにしても、「アルバイト」や「パート」という言葉は、法律上の用語としては見当たりません。

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」によりますと、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者」のことを「短時間労働者」と表記しております。

行政は、この「短時間労働者」のことをまとめて「パートタイム労働者」と、この法律のことを「パートタイム労働法」と呼称しています。

人男働仕事会社

●パートタイム労働者と正社員、権利の違いはない

すでに述べたように、法律的には、この「パートタイム労働者」と「正社員」は、1週間の所定労働時間に差があるだけで、労働基準法上の「労働者」であることに変わりはありませんから、この労働基準法で「労働者」に認められている権利に差が出てくるわけではありません。

しかしながら、実態としては、「アルバイト」や「パート」の場合、1週間の労働時間が短いというだけではなく、正社員は契約期間の定めがないのに対し、数か月や1年といった契約期間の定めがあることが一般的ですので、正社員と比べると、雇用契約が安定的、継続的であるとはいえないことになります。そうなると、雇う側としても、正社員と同じように責任のある仕事を任せることができないということになり、正社員と待遇(賃金や福利厚生)を変えても仕方がないとはいえます。

しかしながら、全く同じ働き方をしているのに、「アルバイト」や「パート」だからといって、「正社員」とは余りに掛け離れた待遇では、働く気も失せるというものです。

 

●パートタイム労働法

パートタイム労働法は、少子高齢化や不況下で短時間労働者が増加するのを背景として、雇用する企業側が劣悪な待遇のもとに都合よくパートタイム労働者を利用するといったことがないように平成5年に定められ、順次改正が重ねられてきましたが、もっとも重要なことは、「正社員との均衡の取れた待遇の確保」にあります。

これまでは、契約期間に制限のないパートタイム労働者について、職務内容や人材活用の仕組みが正社員と同一である場合に正社員との差別的な取扱いが禁止されていたのですが、平成27年4月1日から施行された改正法では、契約期間に制限があるパートタイム労働者であっても、正社員との差別的な取扱いが禁止されるようになったことがポイントです。

 

*著者:弁護士 田沢 剛 (新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)

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