本当に廃止してよい? 少年法が存在する「意味」とは

川崎市で中学1年生の上村遼太君(13)の遺体が発見された事件について27日、少年3人が殺人容疑で逮捕されました。

残虐な事件の実行犯が少年であったということが明らかになり、少年法に対する関心が高まってきています。

「どうせ少年法ですぐに社会に戻るんでしょ?」「少年法なんていらない」などの意見もネット上では散見されます。しかし、本当にそれで良いのでしょうか?なぜ、少年法が存在するのか、本当に改正すべきなのかを今一度考える必要があると思います。

そこで今回は、そもそも少年法とはというところから、わかりやすく解説していきます。

法廷裁判

●少年法が存在する意味

少年は生育途上にあり、これからの社会を担う存在です。このような少年に対し、2つの理念をもって少年法は定められています。

1つは、「生みの親が、親として果たすべきことを果たさない場合に、国家は、その親に代わって子供に対してなすべきことを行う。」という英米法を起源とする福祉的な理念です。

もう1つは、生育途上にある少年は可塑性、つまり変化する可能性があるため、その非行に対しては成人と同様に刑罰を加えるよりも、教育的方法によって処遇することが安心して暮らせる社会に繋がるという刑事政策的な理念です。

難しく感じるかもしれませんが、つまり、これからまだ変わることができる可能性がある少年には、罰を与えるよりも教育をすることによって更生してもらおうということです。

 

●殺人事件の場合は少年でも刑事裁判に

刑法では、14歳未満の者の行為は処罰しないと定められていますが、14歳以上の少年が罪を犯した場合には、少年法が適用されます。

しかし、裁判の手続きは事件によって異なります。

家庭裁判所に送られ、家庭裁判所の調査を経て、そのまま家庭裁判所で保護処分となる場合、あるいは、成人と同じように刑事処分が相当であるとして、家庭裁判所から検察官に送られ、刑事事件として扱われる場合の2つの流れがあります。

刑事処分が相当であるとして検察官に送られるのは、事件が死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件の場合で、特に16歳以上の少年による殺人事件の場合には、原則的に検察官に送らなければならいものと定められています。

 

●成人と少年では刑罰の重さが変わる

しかし、成人と同じように刑事裁判にかけられた少年に対する刑罰についても、少年法に特別の規定があります。

罪を犯したときに18歳未満だった少年に対しては、通常の成人に対し死刑を科すべきときでも無期刑を、無期刑を科すべきときでも有期刑を、有期刑を科すべきときでも、長いものについては不定期刑を科すことになっています。

例えば、「被告人を懲役1年以上3年以下に処する。」などと言い渡されるのです。

 

●少年法は改正するべきか?

過去に少年が起こした殺人事件の例としては、綾瀬女子高生コンクリート殺人事件や神戸児童連続殺傷事件などがあります。凄惨な殺人事件を犯しながら、少年法による特別な取扱いを受けて、結局は、また再び犯罪に手を染めた例もあります。

だからといって、少年法が少年の更生に全く役に立たなかったと考えるのは早計です。なぜなら、少年法による特別な取扱いを受けていなかったらどうなっていたのかは、もっと重大な犯罪に走っていた可能性もあるため、比較などしようがないからです。

少年法の理念である「少年の健全育成」は、そもそも社会の責任です。凶悪犯罪の低年齢化を重視して、少年の責任を追及すべく厳罰化を進める方向で少年法を改正していくことは、個人的には社会の責任を放棄しているものと考えます。

 

*著者:弁護士 田沢 剛(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)

田沢 剛 たざわたけし 弁護士

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

横浜市港北区新横浜3-19-11-803号(加瀬ビル88)

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