収入はあるけど生活保護を受けたい・・・そんなこと可能なの?

生活保護と聞くと、生活に困っている人が受けられる制度ということは知っていても、その実態はイマイチわからないという人が多いのではないでしょうか。

働くより生活保護を受ける方が割が良いなんて話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、生活保護は誰でも受けられるわけではありません。それでは、どのような場合にどのような人が生活保護を受けることができるのでしょうか。

今回は、生活保護が定められた理由や、どのような人が受けられるのかまで、生活保護の基本について解説します。

浮浪者

●そもそも生活保護とは?

ご存知のとおり、我が国の憲法は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めて生存権を保障しています。

これを受けて生活保護法が定められているのです。

生活保護とは、厚生労働大臣が定める基準によって計算された最低生活費と収入とを比較し、収入が最低生活費に満たない場合にその差額を生活保護費として支給することを意味します。

しかし、収入が最低生活費に満たないからといって誰でも支給してもらえるというわけではありません。

では、どのような要件を満たせば生活保護を受けられるのでしょうか。

 

●生活保護は誰でも受けられるわけではない?

生活保護の開始の要件は、実際に最低限度の生活を維持できないほど生活に困窮している状態にあることです。

しかしながら、現代社会ではいくら生活に困窮していても基本的には自己責任が前提ですので、個人が可能な努力を尽くしてもなお最低限度の生活を維持できない場合に、最後の砦として生活保護が用意されているのです。

ちなみに、やや専門的ですが、これを「保護の補足性」と言います。

生活保護法にはこのように書かれています。

4条1項には「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と書かれ、更に同条2項に「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものする。」と定めているのがそのあらわれです。

分かりやすく言うと、お金に換えることのできる資産があったり、働く能力がある場合などにはそれを活用した上でなければ生活保護は受けられないことを定め、親族の援助や他の施策が生活保護よりも優先されることを定めています。

そのため、実際に生活保護の申請をしても「保護の補足性」をクリアしなければならず、そのハードルは高いというのが実情ではないでしょうか。

 

●働いている人でも受給できる?

では、働いているけれども給料が少なくて生活できないという場合はどうなるのでしょうか。

働いている人は、その対価として賃金をもらいます。しかし、賃金をもらっているからといって、生活保護が受けられないということはありません。

ただ、最低限度の生活を維持できない賃金しかもらっていないとしても、どのような理由からなのか、勤務先の不払いなのか、それとも本人の勤務意欲、あるいは能力の問題なのかなど、「保護の補足性」の観点から、個人が可能な努力をして尽くしてもなお最低限度の生活を維持できない場合であると判断される場合でなければ、生活保護は受けられないのです。

しかし、最低限度の文化的な生活は誰にでも保障されているのですから、努力できる範囲は努力したうえで、相談してみるのもいいかもしれません。

 

*著者:弁護士 田沢 剛(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)

田沢 剛 たざわたけし 弁護士

新横浜アーバン・クリエイト法律事務所

横浜市港北区新横浜3-19-11-803号(加瀬ビル88)

コメント

コメント