そろそろ4月1日、新たな生活の始まりです。と同時に4月バカ、エイプリルフールの日でもあります。
日常生活のなかであえてウソをついて楽しむことはあまり無いかもしれませんが、インターネット上では大げさで目を引くキャンペーンを立ち上げる企業などが最近出てきており、「大人の遊びを体験できる日」としての地位は確立されていると言ってもよいのではないでしょうか。
しかし、遊びが度を過ぎて本当に人を騙し、実害が出てしまったとしたら。法律は年中無休、エイプリルフールも例外ではありませんから、必ず制裁がくだされることになります。
今回は、ある仮想事例をもとに、エイプリルフールが法律的にどのような解釈をされるのか、見て行きましょう。
こんな状況があったとしたら。。。
4月1日に「私たち、来月結婚します!」とパートナーと肩を組んだ写真をfacebookにアップロードしたAさん。2週間後に、友人のBさんから高級な花瓶をプレゼントされた。Aさんの「あれはエイプリルフールのウソだったから受け取れない」という言葉にBさんは怒り、「信じて、2人のためを思って買った。商品代と慰謝料を請求する!」。Aさんはエイプリルフールでふざけただけだったということを理由に当該請求の支払いを拒否できるでしょうか?
■商品代の請求は?
Bさんが商品代及び慰謝料を請求する方法としては、Aさんがfacebookに記事及び写真をアップした行為を侵害行為として、不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられます。
しかし、まず、商品代について、Bさんには商品代の損害が生じていないため、損害賠償請求をすることはできません。上記事例では、Aさんは花瓶の受け取りを拒否していますから、花瓶はBさんの手元にあるのでしょう。
■慰謝料の請求は?
次に、慰謝料については、Aさんがfacebookに記事及び写真をアップしたことによって、Bさんの「Aさんに花瓶をプレゼントするかどうかを判断する」という意思決定権が侵害されたと考える余地があります。
しかし、一般的に、エイプリルフールに嘘の内容の記事及び写真をアップしたからといって、それを真に受けてプレゼントまでする人はいないでしょう。
ですから、Aさんによる記事及び写真のアップと、Bさんによる花瓶のプレゼントとの間には、基本的には、相当因果関係が認められないものと思われます。
仮に相当因果関係があるとしても、財産的利益に関する意思決定権が侵害されたことによって慰謝料が認められるのは例外的な場合です。この点でも、慰謝料が認められる可能性は相当低いでしょう。