意外と知らない「自己破産」どんな手続き方法がある?

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「自己破産」という言葉をお聞きになったことがあると思います。

これは、簡単にいってしまえば、返済することができないほど負債を抱えた人が、持っている財産を清算して債権者に配当することで、残った債務の支払いを免れる手続です。

今回は自己破産について解説してみたいと思います。

 

■自己破産の手続方法は2種類ある

個人の破産の場合には、管財手続と同時廃止手続という2種類の手続が行われています。

原則は管財手続といって、裁判所から選任された破産管財人弁護士が財産状況等を調査し、必要があれば破産者の財産を換価し、債権者に対する配当を実施する手続になりますが、個人の破産者の中には、配当に資する財産を持っていないことが、一見して明らかであり、管財人による調査が不要と思われることがあります。

このような場合には裁判所の判断で、破産手続が開始されると同時に廃止の決定もなされ、破産手続が終了します。このような手続を、同時廃止手続といいます。

同時廃止手続の方が簡易な手続ではありますが、あくまで例外的な手続となりますので、同時廃止手続を希望しても必ずしも認められるものではありません。

なお、破産手続の最大のメリットは債務の支払いを免れることにありますが、厳密には破産手続の中には免責は含まれておらず、別途免責許可の申立をする必要がありますので、この点には注意が必要となります。

 

■免責について

免責については、法律で定められた免責を認めない事由(=免責不許可事由)があり(破産法第252条1項)、これに該当しない場合には免責が許可されるという仕組みになっています。

免責不許可事由としてよくあるものとしては、浪費やギャンブルによる借り入れのほか、一部の債権者のみに対する弁済(偏頗弁済)、財産隠しなどが挙げられます。

免責不許可事由がある場合には財産がないことが明らかであっても、あえて管財人を選任し、免責の可否についても管財人に調査させる場合もあります。こうすることによって、形式的には免責不許可事由がある場合であっても、裁判所による裁量免責という道を残しています(同条2項)。

仮に免責許可決定を得て、晴れて借り入れから解放されたとしても、再度の免責許可を受けるためには免責許可決定の確定の日から7年の経過が必要となりますので、油断して再度借り入れを作らないようにすることが重要です。

 

借金にお悩みの場合には、まずは専門家に相談しましょう!

 

*著者:長山 るみ弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の弁護士。離婚問題から債務問題まで幅広く精通。思わぬトラブルに巻き込まれると、心身共に疲弊し、どのように対処していいのか途方に暮れることもあると思います。 そんな時は是非ご相談ください。)

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