トライアスロンに参加していた選手が死亡…責任は誰が負う?

2017年6月4日、栃木県で行われたトライアスロンの大会に参加していた50代の男性が、水泳の競技中に死亡するという事故が発生しました。

トライアスロンに限らずマラソンなど持久力を競う大会や、生命の危険をかけながらプレーするスポーツについては、極稀に競技者が命を落とすことがあります。

仮にそうなった場合、誰が責任を負うことになるのでしょうか? エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解をお伺いしました。

 

Q.トライアスロンなどスポーツの大会で選手が死亡……責任は誰が取る?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

A.ケース・バイ・スケースですが、基本的には自己責任となります。

「基本的にはその選手自身の自己責任ということになります。というのも、スポーツの大会などに出る場合には、参加者はそのスポーツで通常起こりうる危険に関してはそれを引きうけ、承知しており、リスクを負った上でスポーツ大会などに参加しているからです。

今回のように、トライアスロンのスイム中に溺れるなどの事故に関しても、参加者はその危険性及び自身の身体能力を認識した上で参加しているのが通常です。そのため、原則として参加者自身の自己責任として、主催者側が責任を問われることは考えにくいものと思われます。

ただし、例外的に、そのスポーツにおける通常の危険性を超える事故が起きた場合、たとえば大会におけるコース設定に明らかな問題があったり、天候状況からして中止して然るべきにも関わらず中止判断をしなかったりなどの事情がある場合には、当該事故発生について大会の運営者が予見し得るものであって、その事故発生を防止することができたとして、民事上は不法行為責任(民法709条)を、刑事上は業務上過失致死傷(刑法211条)などの責任を負う可能性があります。

また、事故発生原因が本人や運営者以外の者にある場合、たとえば別の大会参加者の故意又は過失によって事故が起きたような場合には、その事故を起こした者が直接の責任を負うことになるでしょう。

スポーツとひとくちにいっても色々とありますが、どんなスポーツでも事故の危険は付きもの。特にこれからの季節、スポーツに熱中するのはいいけれど、熱中症には気を付けたいですね。安全に体を動かして、爽やかで健康な体づくりを心がけたいものです」(大達弁護士)

 

ケース・バイ・ケースですが、自己責任となることが多いようです。これからレースに参加される予定のある方はくれぐれも気をつけてください。

 

*取材対応弁護士: 大達 一賢エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)

【画像】イメージです

*Pavel1964 / PIXTA(ピクスタ)

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大達 一賢 おおたつ かずたか

エジソン法律事務所

東京都千代田区神田錦町1-8-11 錦町ビルディング8階

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