一般人や有名人の写真をSNSにアップ…肖像権違反では?

最近はスポーツ会場にカメラを持って登場し、パシャパシャと撮影している一般人をよく目にします。そのような人たちはたいていTwitterやブログなどのWeb媒体に画像をアップしています。

スポーツやライブの写真で気になるのが、選手の後ろに写っている観客の顔。丁寧にモザイクをかける人も多くなってきていますが、未処理のまま投稿している人もいます。この場合、肖像権を侵害しているように思えます。

また、スポーツ選手や芸能人についてもプレーや舞台裏のオフショットを勝手に撮られてアップロードされることがあり、不愉快に思っている人もいるそうです。このような行為は法律的に見てどうなのでしょうか?

銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に見解を伺いました。

 

Q.スポーツの観戦中の観客や選手のオフショット写真をSNSに勝手にアップ…肖像権の侵害では?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

A.観客については一定の要件を満たせば肖像権の侵害にはなりません。有名人については、パブリシティ権があり、これを侵害する可能性があります。

「以下の法律が該当します。

(付随対象著作物の利用)
著作権法第30条の2  写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2  前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は、同項に規定する写真等著作物の利用に伴つて利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

つまり

① 写り込んだ他人の「著作物」を分離することが困難であること(分離困難性)
② 写り込んだ他人の「著作物」が、作成する写真や動画等への影響が軽微(軽い)であること(軽微性)
③ 写り込んだ他人の「著作物」の著作権者の利益を不当に害しないこと(利益不侵害性)

これらの要件を満たせば、肖像権侵害にはならないということになります。

芸能人やスポーツ選手の場合は、肖像権とは別に、その肖像自体に“顧客吸引力”があり、財産的価値があります。これは、“パブリシティ権”と言い、判例でも認められているものです。したがって、こういう方達の肖像を勝手に使うことは、パブリシティ権の侵害となり、莫大な損害賠償請求をされることがありえます」(小野弁護士)

 

一般人については要件を満たせば肖像権侵害にはならないようですが、有名人の場合はパブリシティ権の侵害と判断される場合があるようです。そのあたりを留意しながら、ネットに画像をアップしてください。

 

*取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)

【画像】イメージです

*den-sen / PIXTA(ピクスタ)

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