辞めたくないのに会社側が退職を強要…従業員はどう対処すればいい?

*画像はイメージです:https://pixta.jp/

正社員になることが夢――それがCMになって共感を誘おうとする時代になってしまいました。反面、企業は派遣社員やバイトなどの非正規雇用で本体をできるだけ身軽にしたがっています。つまり、苦しくなったらサッサと契約を切りたいのです。

つい先ごろは過剰な残業が問題になりましたが、正社員も派遣社員もバイトの人も、突然に会社から退職を申し渡されることがあります。筆者も契約社員時代、突然呼び出されて「今日でクビ」という社風を持つ会社にいました。当初は言われたその日で荷物を全部持って帰り、猶予期間も引き継ぎも認めないという超ブラックな社風がまかり通っていました。

しかし労働問題が浸透するにつれ、その後は1ヶ月の有給という措置になったようです。最近は会社側も賢くなり、配置換えや役職の降格、左遷などでじわじわと自ら退職届を出すような例が横行しています。

しかし、退職したくないのは今も同じ。こんな時はどうやって会社と戦えばいいのでしょうか? ピープルズ法律事務所の森川文人弁護士に伺いました。

*取材協力弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

 

 

■会社側がどのように退職を促してくるか

「まず知っておきたいのは、会社側の退職の促し方です。はっきり口頭や書類で退職を要求するのは“解雇通告”。これは分かりやすいですね。就業規則などを根拠になされます。

問題になるのは“退職勧奨”と“退職強要”です。やんわり退職を勧めているのか、それとも強要しているのか。これは個別に事案によって判断されます。あなたが“強要だ”と思っても、第三者には“勧奨”ととられる場合もあります。

なので、できれば普段から証拠として相手の発言や周囲の嫌がらせなどがあればそれも録音しておくことです。もし書類があるなら、しっかり保管しましょう。どこに訴え出るにしても、最後は言った言わないの争いになることもありますし、証拠は多いほうが良いでしょう」(森川弁護士)

 

正式な“解雇通知”でなく、口頭で「おまえなんてやめちまえ!」などと恫喝する上司がいるようなら、会社にいる時間は辛いでしょう。しかし、それをしっかり録音していたらこちらの思うツボというわけです。

しかし、「君の職場は今日から倉庫だよ」と口頭で言われ、暗に退職に追い込もうとしている場合などは少し厄介です。突然言われると録音も間に合わない場合もありますが、少し会話で粘りながらスマホで録音したり、正式な辞令を書類で出すように要望したりしてみましょう。

会社側が自分をクビにしたがっていると少しでも感じ始めたら、証拠集めを意識してください。

 

■遠回りに退職させることは法律に反しているのか?

「“退職勧奨”はあくまで労働者の自由な意思による退職の勧め、という範囲を超えない限り、ぎりぎり合法です。

しかし、真実を伝えない、虚偽を伝える、などにより労働者が辞めざるを得ないと誤信させたような場合、民法95条違反の“錯誤無効”となるとされています。

また、限度を超えた場合は、労働者に慰謝料の請求(民法709条、710条)を認めた判例があります」(森川弁護士)

 

会社側は労働者に抵抗されないよう、ぎりぎり合法な線で退職をせまってくることでしょう。社内で「あそこの部屋行きはクビ候補ってことだよ」などと囁かれている噂もあるはずです。そうした同僚の証言もできるだけ集めましょう。

 

■退職する際にするべきこと

会社側からの圧に耐えられなかったり、会社を見限ったりして実際に退職する場合は、会社から退職金をしっかりもらいましょう。

 

「労働者は、退職金の定めがあるか、またその計算方法はどうなっているかを社内の規定を調べて知っておく必要があります。

さらに、退職する場合は“離職証明書”を発行してもらわないと雇用保険を受け取れません。この時、自己都合か、会社都合かで雇用保険が受け取れる期間もかわりますので、その点も注意してください」(森川弁護士)

 

ちなみに筆者にクビを申し渡した会社は、この“離職証明書”を“自己都合”で発行してきたから卑劣でした。当日は慌ただしく片付けたので気づかなかったですが、のちに気づいて経理に乗り込んで“会社都合”に書き換えさせました。

ブラック企業は最後まで油断ができませんので、お気をつけて!

 

*記事監修弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)

*取材・文:梅田勝司(千葉県出身。10年以上に渡った業界新聞、男性誌の編集を経て独立。以後、フリーのライター・編集者として活躍中。コンテンツ全般、IT系、社会情勢など、興味の赴く対象ならなんでも本の作成、ライティングを行う。)

【画像】イメージです

*jazzman / PIXTA(ピクスタ)

【関連記事】

「朝出社したら会社が無かった」…勤め先が倒産したらするべき5つのこと

土日出勤でも、代休が与えられれば、割増賃金は払う必要はないの?

退職を伝えたら給料を下げられた…これって違法じゃないの?

禁止している会社は意外と多いけど…就業規則で「副業全面禁止」は違法って本当?

22時以降は業務禁止でしぶしぶ「持ち帰り残業」…残業代は請求できる?

若井 亮 わかい りょう 弁護士

不動法律事務所

東京都新宿区四谷2-4 久保ビル6階

渡部 孝至 わたなべ たかし 弁護士

弁護士法人はるかぜ法律事務所

東京都港区虎ノ門3-8-26 巴町アネックス4階

牛田 喬允 うしだ たかまさ 弁護士

赤坂山王法律事務所

東京都港区赤坂2丁目13番19号 多聞堂ビル6階

コメント

コメント