有給休暇を使って海外旅行…会社へは特別な申請方法が必要?

平成27年の厚労省の調査によると、日本人の年次有給休暇所得率は47.6%で、これは先進各国の中でもほぼ最下位の水準であることが判明しました。

取得率が50%を切っているということは、本来使えるはずの権利を日本の労働者は半分も使えていないということになります。

取得率が低い原因は様々だと思いますが、その1つに会社への申請方法があるのではないでしょうか。

会社によって異なりますが、有給休暇取得に当たって稟議書かのような申請書が必要だったり、海外に行く場合には別途「長期休暇届」などを必要としたりする会社もあるようです。

このように申請を煩雑化することによって実質的に有給休暇の取得妨げになっているような制度は果たして合法なのでしょうか。

 

Q.有給休暇を取得するのに会社に申請は必要なの?

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A.法的には申請手続は必要ありません。あまりにも煩雑な申請方法を会社が定めている場合、それは違法とされる可能性もあります。

そもそも、法律上は有給休暇を取得するにあたり「申請」が必要であるとは定められていません。あくまで有給休暇は労働者の当然な権利なので、本来は「申請」や「許可」を会社が求める余地はないはずです。

よって、会社が独自のルールを定め、有給休暇の円滑な取得を妨げるような煩雑な申請方法を労働者に求めている場合、これは違法となる可能性があるのです。おかしいな、と感じたら労働基準監督署などに一度相談してみるのも良いでしょう。

 

*取材・文:ライター 松永大輝(個人事務所Ad Libitum代表。早稲田大学教育学部卒。在学中に社労士試験に合格し、大手社労士法人に新卒入社。上場企業からベンチャー企業まで約10社ほどの顧問先を担当。その後、IT系のベンチャー企業にて、採用・労務など人事業務全般を担当。並行して、大手通信教育学校の社労士講座講師として講義サポートやテキスト執筆・校正などにも従事。現在は保有資格(社会保険労務士、AFP、産業カウンセラー)を活かしフリーランスの人事として複数の企業様のサポートをする傍ら、講師、Webライターなど幅広く活動中。

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*zak / PIXTA(ピクスタ)

【参考】

*厚生労働省:平成 27 年就労条件総合調査の概況

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