みなさん、「バイラルメディア」って知っていますか?
今、インターネット上で増えてきている主に動画や画像を紹介するブログ形式のサイトのことです。
バイラルメディアは、多くの人が興味を持ちそうなネタを提供することにより、FacebookやTwitterなどのSNSで取り上げられ、そこから人を介して情報が一気に拡散することから、「バイラルメディア」つまり「ウイルスの様に拡散するメディア」という名称が付けられています。
要は、読みやすく拡散させやすい内容の記事を掲載するサイトの総称だと思っていただいて語弊は無いと思います。ここまで聞けば、「あぁ、あれか!」とピンときた方も多いかもしれませんね。
さて、今や乱立傾向にあるこのバイラルメディアですが、他人が書いた記事や他人が撮った写真、動画などを無断でそのまま載せているサイトもあり、問題となっているようです。
では、そんなバイラルメディアにあなたが撮った写真が無断で使われていた場合、一体あなたには何ができるか検討してみたいと思います。
前提のお話しですが、上記のような場合、バイラルメディア側にはほぼ確実に著作権の侵害が認められます。また、その写真にあなたの顔などが写っている場合は肖像権侵害の可能性もあります。
●まず被害を食い止める
自分の写真がバイラルメディアに使われてしまったら、時間の経過と共にその写真が拡散されてしまうおそれが大です。極力被害を最小限に食い止めるためには、まずサイト自体に削除要請をすることが大事です。
全てのサイトをチェックしたわけではありませんが、色々探してみたところ、バイラルメディアには、削除要請が出来る連絡フォームが付いている場合が多いようです。
中には、「著作権、肖像権に問題が有る場合にはご連絡ください」といったコメントも見られました。バイラルメディア側も著作権侵害などのリスクがあることを承知しているおり、そういった問題でサイト自体を閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれることだけは避けたいと考えるでしょうから、通常、削除要請には比較的迅速に対応してくれると思います。
●損害賠償請求はできる?
次に、著作権や肖像権侵害を理由に、バイラルメディアに損害賠償請求ができるでしょうか?
結論から言うと、訴えればほぼ間違いなく勝訴は出来るでしょう。ただし、もちろん掲載された写真の内容にもよるのですが、損害賠償額はそれほど高額にはならない場合が多いと思われます。時間、労力、費用の点から、訴訟を断念される方も多いのではないかと懸念します(なんだか書いてて悲しくなってきました…)。
でも、そこは諦めずに弁護士に依頼し、訴訟外で交渉することで、損害賠償を受けられる可能性はあると思います。この場合は、バイラルメディア側に権利侵害があることが明らかですから、大ごとにしないためにも訴訟外の和解に応じるケースも十分に考えられるでしょう。
●著作権法違反はかなり重い
ちなみに、著作権法違反には刑事罰が科せられます。
軽く考えられている写真の無断使用のケースでも、何と最高で10年の懲役、1,000万円の罰金またはそれらを同時に科すという重い罪です。
このケースでそこまでの罰が科されることはおよそ有りえないとは思いますが、バイラルメディア側にも刑事罰を科される可能性があるということくらいは理解してもらわないといけませんね。
*著者:弁護士 河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動しております。弁護士生活5年目を迎えた若手(のつもり)弁護士です。お客様に喜んでもらえた時に一番やり甲斐を感じています。弁護士というと敷居が高いと思われがちな職種ですが、お気軽にご相談していただけるような存在になりたいと思っています)