韓国で罪を認め、日本で無罪を主張したた冨田選手はどうなるの?

水泳

●韓国での犯罪は韓国で扱われる

水泳の冨田選手が韓国でカメラを盗んだとして、韓国で略式起訴されましたが、その後、日本で記者会見を開き「盗んでいません」と主張しました。

韓国では罪を認め、日本では無罪を主張しているという構図ですが、犯罪が行われた場合、行われた国の警察や裁判所に管轄があります。韓国で行われた犯罪については、韓国の警察や裁判所が管轄を持ちます。

韓国人でなくても、韓国国内で犯罪を犯せば、韓国内で逮捕されたり刑務所に行ったり罰金を納めなければなりません。

報道によると、冨田選手は略式起訴され、罰金を納めたそうです。しかし、正式裁判を提起する権利はまだ残っているということです。冨田選手の弁護人によると韓国から略式起訴に対する判決文が送られてきてから、正式裁判を提起する手続をするということですから、まだ、冨田選手の有罪は確定していません。この辺の手続は日本と若干異なるようです。日本だと略式起訴されてそれを受入れて罰金を支払うと、正式裁判をすることは出来なくなります。

今後、韓国で正式裁判が始まれば、冨田選手の言い分が通る可能性があります。そうなると冨田選手は無罪になる可能性があります。あるいは、逆に、冨田選手の有罪が正式裁判で決まる可能性もあります。事態の推移を見守りたいと思います。

 

●日本で処罰される可能性も

日本の刑法によると、窃盗罪は、国外犯も処罰できると定められています。つまり日本国外の窃盗罪であっても、日本人が窃盗罪を犯した場合、日本の警察や裁判所に管轄があります。日本の警察も独自に捜査して、冨田選手を逮捕したりすることが出来ます。

外国で無罪になったとしても、日本の裁判所が有罪とすることは出来ます。司法権はその国ごとに独自にあるからです。

あるいは、外国で有罪になったとしても、日本で無罪になる可能性はあります。

日本で無罪になったとしても、韓国で払った罰金は戻りません。上記に述べたとおり、司法権はその国ごとに独自にあるからです。

さらに、外国で有罪になり、日本でも有罪になる可能性もあります。そのような場合は、外国で払った罰金や外国の刑務所に入ったことを考慮して、日本での刑を軽減することが出来ます。
*著者:弁護士 星正秀(星法律事務所。離婚、相続などの家事事件や不動産、貸金などの一般的な民事事件を中心に、刑事事件や会社の顧問などもこなす。)

*画像:BrunoRosa

星 正秀 ほしまさひで

星法律事務所

東京都中央区銀座2−8−5石川ビル8階

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